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外国語で表現力を高めるためには

 何語であれ、語学の勉強をしてある一定のレベルに達すると「表現力をもっとつけたい」と感じるようになります。それにはどうしたらいいのでしょうか。

 外国語での表現力を高めるためには、まず、自分が今使っている表現を認識する必要があります。一定のレベルに達すると表現もマンネリ化して同じ表現を使いがち。しかし、それを打破するため、まずはどういった表現を自分が日頃使っているのかを確認してみましょう。特に英語ではどういった動詞を使っているかを着目していくといいかと思います。

 そのいつも使っている表現をまずは意識して別の表現にしてみる。1日2つでも3つでもそれをやっていくと1週間で14個から21個の表現を身につけられます。
 
 私が前に英語でやっていたのは、知っているけど使えない表現や単語をピックアップし、それを毎日故意に使っていくようにしました。例えば、仮定法ではIfを使わずに表現したり、あまり使わない接続詞の場合は無理やり使うようにしていました。こうしていくと表現の幅も広がります。ただ、単に使っていくのではなく、その単語や表現が使えるふさわしい文章を作っていくことが肝要です。英語にも敬語があることは前にも話しましたが、普通に話していていきなり1文だけ敬語文になるのもおかしいわけで、その会話や文章全体で敬語を使うのであれば、それに適応した表現を使っていくようにするわけです。意識的に使わないとついついいつも使っている表現をそのまま使ってしまいます。

 あまり使えない熟語や単語を無理に使っていくのもいいのですが、そもそも母語である日本語の表現があまり豊富でないと外国語でも言えないのではないかと最近感じるようになってきています。

 これは当たり前のようですが、外国語を勉強していくとそれに気づかないようなのです。前にも書きましたが、外国語を勉強するということは、日本語力がないとできません。日頃日本語をいい加減に使っていると、何語でもいい加減な表現しか使えないのです。
 
 例えば、日本語で、「学ぶ」という動詞がありますが、これには多くの類義語があります。ざっと思い浮かべるだけでもこんな感じでしょうか。

 習う
 教わる
 習得する
 学習する
 勉強する
 修得する  

 類義語辞典を開けば、いくらでも出てきますが、これら一つ一つの動詞のニュアンスや意味の違いやその他の類義語を辞典を使わずにパッと出てくるようにならないと、今度は外国語でも思うようにいかない。つまり、外国語の表現力をつけようと思うのであれば、まずは日本語の表現を多く使えるようにならないといけないのだと思います。

 そうなると日本語の勉強をしていかないといけなくなります。私は一時期日本語を外国人に教えていたこともあって、日本語の文法書を読んだりもしていたのですが、これは非常に勉強になりました。日本人は日本語を当たり前のように使いますが、一つ一つの意味をしっかりとわかって使っていない人が多い。日本語で簡単な単語をいちいち辞書を引いたりはしません。でも、日本語はとても奥が深い言語で、一つ一つの単語をしっかりとわかっていくと自ずと表現の幅も広がっていきます。

 日本語の表現を身につけるには、いろんな本を読んでいく必要があるでしょう。表現を高めていくには一朝一夕ではいきません。毎日コツコツとやっていくしかありません。私の場合、いろんな本やサイトで見つけて使えそうで使えない日本語の単語や熟語をノートに毎日まとめています。特に新聞での表現はとても参考になります。

 さらに、ピックアップして終わりではなく、これを日本語でも日頃のコミュニケーションのなかで使うようにしていくのです。なかには気に入った表現に遭遇することもよくあるので、これらはどんどん覚えていくことができるでしょう。特に好きな作家の表現を身に着けていくのはとてもためになります。

 また、翻訳小説も表現拡大には役に立ちます。原文と日本語訳の両方が必要になってきますが、どちらかを読んでいって気になる表現があったら、その対訳はどうなっているのかを確認していくといいでしょう。時間はかかりますが、こうした作業をしていくと確実に上達していきます。

 外国語の表現能力は日本語力と表裏一体です。外国語の勉強には日本語力も問われます。日本語の表現が広がらないと外国語の表現も根本的に広がっていきません。母語をしっかりと上達させていくことが外国語表現上達の近道だと思います。

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