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レイラック滋賀、Jリーグ参入申請したってよ

 レイラック滋賀がJ3参入申請を行った。2月の改称時に「26年までのJ参入を目指す」とアナウンスがあり、東近江市長さんも「布引をJ仕様に」ととれる発言をしておられた。さらに、彦根市とのホームタウン提携など、急ピッチで下地が整いつつあったので、降って湧いた話、というわけではない。驚くべきは、チームが13節消化時点で首位に立っていることで「J参入が現実味をまとってきた」という点だろう。

 MIO時代にも、一度参入に向けた申請(百年構想だったかな)は行って(布引にJのバッジ付けたスーツ姿の人が数人来て、試合後に座席数数えていたのを見たなあ)いるが、この時はJ3発足に伴うものだった記憶がある。財務やスタジアム云々ではねられたはずだ。反対に言えばJ3発足時のためそれらの要件が整っていれば、順位がどうだろうとそのまま参入できた公算が高かった。
 だが当時、私の体感としては現実味は薄かった。県協会もMIO支援で一本化、とはなかなかいかなかっただろうし財務関係もなかなか苦しいんだろうな、とは想像していた。順位はあまり関係なかったはずだが、どこか別世界の話を聞いているようだった。
 今回は現実味がある、というよりいきなり「濃い現実味」を突きつけられ、Jライセンスって実在するんだ、お伽噺じゃないんだ、と戸惑っているくらいだ。

 現実味の理由は、先述したクラブによる下地整備がもちろん大きいのだが、やはり折り返しにかかったところで首位にいるチームが醸し出す空気による。
 改称しようが財務・スタジアム環境が整おうが、いい選手がたくさん加入しようが、万年中下位、昨年は最下位のチームである。奈良クラブとFC大阪がJ入りしなければ、今頃は関西リーグでやっていたであろうチームなのだ。今季はとにかくまず残留、中位に食い込めれば上々出来、と思っていた。なんとか数年で力を付けてから上位に挑めれば、と願っていた。まあ、それが常識的な考え方ではないか。うまい話はそうそうなく、奇跡はやたら起きないから奇跡だろう。

 ところが、だ。まだ半分、大混戦とはいえ、首位である。MIO時代を通じても、まったく経験も想定も想像もしていなかった位置に立っている。平尾選手のFKが、伊東選手のビッグセーブが、平井・井出選手の強さが、榎本選手のドリブルが、凝り固まった私の「常識」をたやすく突き崩し、壁の向こうの景色を見せようとしてくれている。「レイラック/MIOといつかJに」なんていいながら、どうせ壊せないんだから、そんな景色なんて見えやしないんだし、と直視することさえ躊躇っていた壁に、はっきりと亀裂を生じさせている。あちら側の空気を想像させてくれる。やっぱりサッカーには、ピッチで起きることには、とんでもない力と価値がある。
 
 もちろん壁はまだまだ厚く、壊せるかどうかは分からない。それでも「ヒビを入れられる」と証明してくれた選手や監督・スタッフ、クラブ関係者の力には、ただただ頭が下がる。そして亀裂を大きくし、彼らが打ち込む力を支える、打ち込む力になるために、ただただレイラックを応援していきたい。

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