レイラック滋賀、なんか応援凄くなってるってよ!
2位ソニー仙台との勝ち点差は3、残る試合は2。スタジアムに着くまでは、入場してからも「2連勝当然だぜ!ソニーさんにプレッシャーかけてやるぜ!オラオラ」的な心境であった。なにせホーム布引。クラブが頑張って集客策を打ち、ゴール裏の人数も増えているこのムード。改めて、負けるわけないやろ!と選手入場で意気軒昂に「周航歌」チャントの声を、いつも通りに張り上げた。
よっしゃ今日も勝つ!さあゴールや!と意気込みながら聞いたキックオフのホイッスル。ティアモ枚方の選手たちが、こちらのゴール裏から遠い方の、レイラック陣内に殺到していく。声を出しながら「そういや点取られたらどうしよ」という思い脳裏に浮かんだ瞬間、膝下がスッと寒くなった。「あ、ソニーが勝ったら、今日で終わってしまう可能性あるやんな」
声を張り上げながらも、枚方のサイドの選手がキレのある動きを見せると、もう連想は止まらなかった。「先制されたらキツいよな」枚方に両サイドに大きく振られ、際どいシーンを作られた。「先制されるかも。何とか追いついてもそこで時間切れやろか」。もう、一気に試合後を想像してしまった。「選手たちをどんな顔して迎えたらいいんだろう。なんて言葉をかけたらいいんだろう。見てられないかもしれない」
勝ち負けがあるのがスポーツで、当たり前ながら枚方も強い。当然、良くない結果、最悪の結果はあり得るし、あり得る事は重々承知している。いるけども、そうした想定は一切考えないようにしてこの日までを過ごしてきた。2位に入るためどういう星勘定があるにしろ、レイラックとしては勝つしかない状況で、勝つこと以外を考える意味はもうないじゃないか。そう心に刻んでスタジアム入りした反動が、眼前のプレーで一気に噴き出した。声を出しながらも、心拍数が嫌な上がり方をした。首筋が強張った。足裏がじっとり冷えていった。やばいやばいやばい‥
声を出すのだけはやめなかった。それしか出来ることがないからだけど。前半のどのタイミングだっただろうか。声をもっと出そう、張り上げよう、と考えたら、急に周囲の音がよく聞こえてきた気がした。ああいつも通りドラムも太鼓も、トロンボーンもある。この日は「レイラック滋賀がんばれー」もあった。みなさん、いつも通りそれぞれ出来ることに尽力しておられる。どこかのCKで「滋賀滋賀滋賀」コールをしたあたりで、なんだが嫌な感じが止んだ。試合の方も、狭い局面で激しいつぶし合いを仕掛け、ペースを握り始めていた。
気がつくと前半が終わった。ハーフタイムには「ヒリヒリする、これが勝負事だよな」と思い始めた。そして58分、榎本選手のゴールで全てが元に戻ったように思う。余裕が生まれた、という事ではなく、勝っていようが負けていようが、勝つかも知れなかろうが負けるかも知れなかろうが目の前の選手を応援する、それだけに集中できた。
試合が終わった。得失点差で2位になった。まだ何が決まった訳ではない。でも確実に前に進んだ。改めて、私の「悪い想像」などとは比べようもない重圧の中で戦い、進んでいる選手たちが大きく逞しく見えた。
最終節のヴィアティン三重戦、もう連想はしないだろう。もう血の気が引くことはないだろう。やることはハッキリしている。どこまでも選手を支えるサポーターさんの中で、少しでも大きな声を出す。それだけだ。
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