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MIOびわこ滋賀 JFL残留

 W杯開幕を控えた11月20日、花園ラグビー場に12183人が入り、MIOびわこ滋賀のJFL残留が決まった。5勝19敗6分・勝ち点24、16チーム中16位、堂々の最下位。なのに、生き残った。

 苦しいシーズン、ファンとして見ていても降格して当然のサッカーだ。「3-1で勝つ」サッカーを志向していたそうだが、多くのパスは弱く、不正確。球際に行く強さもスピードも足りない。繋ごうとしてはすぐに引っかけられて逆襲を食らい失点。相手のビルドアップを全く止められずズルズルとDFに圧力をかけられ失点。奪っても体を当てられるとすぐにボールを失い失点、前線に蹴っても全く収まらず失点。クロスも上がらずシュートもなし。とくに超大型連敗中は贔屓目に見ても、良い所は皆無だった。よくHondaに勝ってFC大阪に引き分けたな、という戦績である。
 何が悪かったのか、今以てよく分からない。コンセプトと選手が合っていないようにも思えたし、コンセプト自体が今季のJFLに合わなかったようにも見えたし、そもそもすべてにおいて力量不足だったとも思わされた。

 淡々とボールを失って、淡々とゴールされて負ける。何の感情の起伏もなくあーあ、という乾いた気持ちしか湧きあがらなかった。もうMIOのサッカーを見たくないかも、という思いがよぎったのは今季が初めてだった。降格したら久しぶりにビックレイクにでもいくかね、といったところだ。
 
 残留できたのは、大阪と奈良が共にJ参入要件の4位以内に入り、かつ平均観客数2000人達成にあたって異常な動員力を誇る三浦知良選手が今季JFLに在籍、という奇跡としかいいようのない巡り合わせの年に当たったからだ。どれか一つでも欠けていたら、残留はなかっった。ラッキーもラッキーで、今後二度と起きない、と言い切れるほどの他力に救われただけである。悲しいかなMIOの力は何一つ、残留に寄与していない。このままなら来季は降格候補の最右翼だろう。今季と同じ、淡々と負ける乾いた気持ちのシーズンを過ごすだけだ。
 
 奇跡によって与えられたのは、来季までの時間と機会。一からやり直すしかない。終盤に東さんが就任し、とりあえずシンプルなサッカーに戻した。東さんはチームから離れていたので選手などを大きく入れ替えたり、根幹からやり直すのは難しかったと思うが、集中して守る、速く攻めるというMIOの根源の姿に戻すことには一定成功したといえる。最終節の大阪戦はその典型。メリハリと強度が効いた好ゲームだった。まずは相手の好きにさせない、奪ったら速く展開する。そうしたサッカーに集中する選手の姿に熱中した。声出しエリアで存分に声を涸らすことができた。12000人超の観客の迫力と併せ、サッカーの熱に浸りきった。

 希望はある。かすかかもしれないけど、最終節のピッチから来季への希望はみえた。奇跡の他力残留でも、15年間JFLに居続けたからこそこういう年に巡り当たった。大阪戦の終盤、猛攻を仕掛ける大阪のプレーにスタンドがわき上がった。大阪の勝利を願う観客の熱は、誰もが認める「サッカーの熱」だった。あの試合でそれを引き出したのは、間違いなくMIOのサッカーでもある。ぜひ、心震わせるサッカーを。そしてそんなMIOを来季も応援する。

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