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お米に違いってあるの?〜品種について〜

 うららかな春の日差しが心地よい季節となりましたが皆様いかがお過ごしでしょうか。えと菜園オンラインショップ衛藤です。農業について農家さんやお客様から学んだことや感じたこと、お客様からよくご質問いただくことを記事にさせていただいています。

 月日が経つのは早いもので、今年の4月16日で熊本地震の本震から5年が経ちます。まず初めに熊本地震によりお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈り申し上げます。また、月日が経つにつれ記憶が薄れていくの仕方ないことではありますが、こういった節目で当時を振り返り、県外からご支援下さった方々への感謝の気持ちや、地震の恐ろしさ、日々の暮らしの有り難さを改めて思い出すことも必要と感じています。

 さて寒さも和らぎ始めたこの時期、当店が取り扱う農家さんの多くが土作りを始めます。毎年手伝いと称して色々と学びに行くのですが、今年は連休中にEM菌を利用した田中さんのぼかし肥料作りのお手伝いに行こうと思っています。

 当店が取り扱うお米や小麦、大豆など、農作物にはそれぞれ品種が存在します。熊本のお米を例に上げると熊本の気候に適した「ヒノヒカリ」や「森のくまさん」、熊本県下の中でも年間を通して涼しい地域の阿蘇で栽培可能な「コシヒカリ」など、それぞれの地域で育てやすい品種を選んだり、農家さんが作りたいと思って選んだ品種など様々ですが、同じ品種でも土の状態や気候でも味に変化が生まれるので農家さんそれぞれの特色が出てきます。

 お客様から「このお米の品種はどういう味ですか?」とご質問いただく事があります。今回は普段食べているお米について少し話したいと思います。

普段食べているお米は「うるち米」

 まずお米は大きく分けて「うるち米」と「もち米」の2種類に分けられます。普段白米や玄米として食べている普通のお米は「うるち米」、餅や赤飯、おこわ等に使用されているお米が「もち米」になります。今回は普段からよく食卓に並ぶ「うるち米」の中から当店で取り扱う品種についてご説明させていただきます。

ヒノヒカリ

 熊本県のお米の代表格とも言える品種のヒノヒカリ。コシヒカリと黄金晴の交配によって生まれたお米品種です。炊き上がりのツヤもよく、もっちりとした食感も味わえるバランスいいお米です。穀物検定協会が毎年行う米食味ランキングにおいて2001年に熊本県城北産(菊池米)がヒノヒカリで初めて最高の特Aにランクされました。当店では菊池の堤さんと野田さん、菊池の隣町菊鹿の田中さん、熊本の山間部で川の分水嶺に位置する蘇陽町の八高さんがヒノヒカリをそれぞれの栽培方法で育てています。地域や育て方の違いからそれぞれ違った味わいが楽しめます。


コシヒカリ

 美味いお米の代表格「コシヒカリ」。粘りが強くもっちりとした食感が楽しめるお米で有名な品種です。熊本県では阿蘇地方を中心に栽培されています。とても評判のいい品種ですが、イネの背が高いので倒れやすい点と胞子によって伝染し葉が枯れてしまったり、白い穂になってしまう「いもち病」への耐性が弱い点があります。当店では阿蘇の内牧で合鴨を使って有機認証のコシヒカリを栽培する山本さんのお米を取り扱っています。(毎年好評の為、R2年度産完売)山本さんが毎日田圃を巡回し合鴨と一緒に育てた有機認証のコシヒカリ本年度産は9月より発送開始いたします。またR3年産の年間契約も受付開始しております。


森のくまさん

 平成元年から8年の歳月をかけて熊本県農業研究センターで開発された「森のくまさん」。上記の「コシヒカリ」と「ヒノヒカリ」の交配から生まれたお米ですので、ヒノヒカリより粘りが強く、コシヒカリよりは弱くなります。また、米粒に光沢があり、高温障害で発生しやすい白濁米が少ない傾向にあります。菊池市の山間部に位置する旭志で東さんが栽培する有機認証のお米や米粉の品種は森のくまさんです。東さんは米粉などの加工品を多く扱っているので、加工品の数量確保の為、現在は有機認証前の圃場(今年より有機認証予定の田圃や来年予定の田圃)で有機認証米と同じ栽培方法で育てたお米を当店では販売しています。


あきまさり 

 熊本県の熊本市より南に位置する不知火町で澤村さんが肥料・農薬を一切使わず育てている品種が「あきまさり 」になります。風に強く倒れにくい特徴があり、食味はヒノヒカリ同等と評価され、現在は熊本県や大分県で奨励品種として普及中です。15年以上前の話になりますが、当時九州地方の主力品種ヒノヒカリが評価され、気候にも適していた為、お米農家さん達はヒノヒカリ一極集中になってしまい作業の競合や適期収穫の不徹底、また温暖化によるヒノヒカリの品質低下が懸念されていました。そんな中、ヒノヒカリに代わって、温暖な気候に順応しつつ美味しいお米品種を作ろうと開発されたのが「あきまさり」です。澤村さんの「あきまさり」は肥料も使用しないので小粒ですが味を主張し過ぎず、玄米、白米以外の混ぜご飯などにも非常に合います。


にこまる

 ここ数年で美味しいとよく耳にするようになった品種「にこまる」。長崎県産のにこまるが4年連続食味ランキング最高ランクを受けるなど快進撃を続ける品種です。九州はコシヒカリの栽培がどうしても限定されますが、コシヒカリのようにもっちりと粘りが強く、いもち病にはヒノヒカリ並の抵抗力、白濁米も少ない傾向にあるので消費者と生産者どちらからも近年非常に人気が高まっている品種です。当店では菊鹿町の市原さんが合鴨と共に農薬不使用・化学肥料不使用でにこまるを栽培しています。R2年産は完売いたしましたが、R3年産の年間契約の受付は開始していますので、是非ご覧ください。


今回もご覧いただき、誠にありがとうございます!品種や栽培方法、土地の違いから生まれる味の違いはもちろん、気候変動に伴う高温耐性や倒伏減少の為の品種改良や、違う品種の交配防止に熟期を分散させたりなど長年日本人に愛されてきたお米ならではの長い歴史があります。私自身記事を書きながらまだまだ知らない事だらけで大変勉強になりました。今回の記事につきましてわからなかった点は農家さんのお話しと九州沖縄農業研究センターのHPを参照させていただきました。

次回も農業や農作物についてお客様からのご質問や私自身が気になって生産者に教えてもらった事や調べたり試してみてわかった事を記事にしたいと思っていますので、ご興味ございました際はご覧いただけると幸いです。






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