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【生産管理】仕掛品の基礎知識

 記事を選んでいただきありがとうございます。東海地方で製造業の生産管理をしているEtologです!
 とてもニッチかもしれませんが、「自分にできることって?」を考えた結果、これまで携わってきた品質管理、生産管理にまつわる知識や経験を共有できるんじゃないかと思い、記事を書き始めました。これから同じ職種に就いて頑張ろうとしている人、ある程度業務には慣れたけど知識を広げたい、深めたい人に向けて何か少しでも有益な情報となるよう記事をまとめました。

 それでは本題、行ってみましょう!

▼仕掛品の存在意義を再認識し、効率よく生産する

作業待ち・移動待ちの状態にあるモノのことを「仕掛品」という

仕掛品の定義は「本来作業が行われるべきであるのに何らかの理由で行われず、あるいは本来移動すべきなのに何らかの理由で移動されずに、そこに止まっているモノ」のこと。つまり、滞りなく流れる生産を止めているモノのことをいいます。
 このような仕掛品は、無駄に時間を消費して、完成日時を遅らせる原因になったり、場所・空間を無駄に占拠してしまう原因となるだけでなく、長期間の滞留となると、腐敗や錆、製品の陳腐化などによって製品自体が売れなくなる恐れも出てきます。
 しかし、仕掛品にも「作業者や機械、設備の稼働を止めない」というメリットもあるため、仕掛品ゼロを目指しつつ、最適な仕掛品量を設定することが大切となります。

▼仕掛品は4つの原因で発生する

作業待ちによる仕掛品の発生

作業待ちという言葉の意味は「工程が混んでいて、なかなか作業の順番が回ってこず、作業を受けるのを待つ状態にある場合のこと」を指します。これに似た移動待ちもあり、「移動に必要な作業者や機械・設備が混んでいて、移動作業の順番が回ってこない時に仕掛品となる」ことをいいます。また、作業者や機械・設備が空いていても、その作業に必要な部品や材料、治工具が届けられていない場合も作業ができず、仕掛品となってしまいます。
 他にも製造途中の設計変更や不適合品の発見によってその部品の処置方法の決定待ちによる作業待ちも仕掛品の発生につながってしまいます。

生産能力のばらつきによる仕掛品の発生

前工程と後工程の能力に大きく差が開いていると仕掛品の発生につながってしまいます。高速道路の渋滞も先頭を走る遅い車に合わせて、後続の車が速度を合わせることになりますよね。ここには走行する車両の「速度差」がある訳ですが、解消するには車線を増やしたり、先頭の車を速くすることが必要です。工程間の能力差による仕掛品を解消する場合も同じ方法が有効となります。(=生産場所の追加や生産能力の向上など)
 ちなみにこの工程間で能力にばらつきがあり、最も能力の低い工程のことをボトルネック工程といい、無策で生産に臨むと、この工程でどんどん仕掛品が生まれることになります。ボトルネック工程での仕掛品は「過大負荷」「過小能力」が原因で起きやすくなります。

過大負荷の原因
・受注が多すぎる

過小能力の原因
・機械や設備の故障
・作業者の欠勤、退職
・不適合品の発生による作業車や機械の拘束

作業を止めたくないという心理が働くことによる仕掛品の発生

作業者同士の“目”を気にするために、周りから見て「ずっと作業をしている」と思われたいという心理が働く。つまり、本当はもっと早く生産できるのに仕掛品がなくならないように意図的に作業スピードを落とすという現象が起きてしまうことがあります。この意図的な操作が過剰に行われてしまうと、仕掛品を減らすどころか増えることが起きてしまう。
 このように、一部の工程の稼働率(生産能力)が向上しても、工程間に極端な能力差がある場合は、前の工程の生産能力に合わせて本来の能力を発揮せず、仕掛品を過度に溜めてしまうことにつながる。

トラブルによる仕掛品の発生

トラブルが発生すると、仕掛品が溜まりやすい状況となってしまいます。例えば、作業者の欠勤や、機械・設備の故障、必要な原材料や部品の調達が遅れているなどのトラブルが発生したとき、生産しようにもできないということになります。

▼仕掛品の増加は対策できる

過大負荷には生産能力の増強や納期の延伸の対策が有効

生産能力に対して負荷が超過し、仕掛品の増加をさせないためにはどうすればいいのでしょう。大きく分けると対策は2つあります。

生産能力の増大
・工場全体の生産能力を増加する
・ネック工程の臨時的な能力増強
・臨時的な能力増強は仕掛品が減少したら元に戻す

納期の延伸
・未受注状態でのリードタイム長期化の告知、交渉
・長期化したリードタイムでの受注

過小能力には生産能力の低下からの早期回復が必要

機械や設備が故障したときや、作業車が欠勤、退職した時など、生産能力が通常よりも減少した場合に仕掛品が増大してしまいます。この場合は、できるだけ早く元通りの生産能力に回復するように努めなくてはなりません。
 ただし、生産能力を元通りに回復しても、一度起きた進捗を巻き返さなければ、納期遅れとなり、お客様に迷惑をかけてしまいます。この場合にも臨時的に生産能力を通常より増大して、進捗の挽回を図る必要があります。

工程能力差による仕掛品には標準時間の遵守と管理が有効

仕掛品の発生原因が、稼働率向上(=工程能力差)による場合は、作業者が稼働率向上のために仕掛品を保有しようとする考えをなくすようにしなくてはなりません。そのためには標準作業の指導・教育と遵守標準時間の遵守と管理を行う必要があり、作業者と責任者の両方が決められた内容で作業が進んでいるかを認識する必要があります。

欠品による仕掛品の増大には納期遅れ対策に注力する

当たり前の話ですが、組立や加工に必要な部品・材料が揃っていないと作業者は作業を開始できません。その結果、部分的に作業が進んだ半製品が現場に溢れてしまいます。この場合は、納期遅れが起きないように対策する必要があります。調達のネックとなっている部品・材料に合わせて手段は異なりますが、先々の手配情報の共有や長納期品の在庫化、サプライチェーンの再構築などの方法を選択し、必要な時に必要なモノが届くように対策していきます。


▼まとめ

・作業待ちや移動待ちなどの「処理待ち」の状態で滞留しているモノを仕掛品という
・仕掛品は「作業待ち」「工程間の生産能力差」「作業者心理」「トラブル」の4つの原因によって発生する
・過剰な仕掛品は適切に処置することで抑えることができる

 最後までご覧いただきありがとうございました。
 記事の中には他の専門用語も混ざっていたりするので、理解の妨げになったかもしれませんね。これからも記事の作成に励んで、より良い情報の共有ができるように精進していきます!
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