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「明治・父・アメリカ」星新一

読了。

ショートショートで有名な星新一の父、
星一(はじめ)の人生を出生から描いた伝記。
日本の実業家であり政治家、星製薬の創業者。
恥ずかしながら私は星新一の父親が
いわば「すごい人」だと知らなかった。

この本は、古本屋で200円で購入したもの。
電車通勤の時間に、気楽に読める短編で、
読みやすい文章を書く、ちょーどよい作家さんの本を探していた際
星新一が目に止まった。
小学生の頃から大好きな作家さんで
久しぶりに読むのもいいなと手を伸ばすと
『明治・父・アメリカ』というタイトル。
読んだことのない短編集だな…と裏表紙を見ると
小説ではなく父の伝記だという。
実を言うとそこまで興味をそそられたではなかったが
失敗してもいいかというお試しの気持ちで購入。

読後、この本に出会えて良かったという感激が最初の感想だった。
若くして勤勉、貧困を味わいながらも
工夫と機転で生き延びる強さ。
人の信頼を得るために大切なこと。
ああ、学生のころ、この本に出会いたかったな…。
そう思うほど素晴らしい人生の教訓が詰まっている。
伊藤博文や野口英世などとも交流があったようで
偉人の名前が次々に出てきた時は興奮した。

「人間は遊ぶ動物ではない、働く動物である」
「わたしもそうう思います」
「教えるまでもないことだろうが、念のために処世上の注意をあげておく。粗食でもいいから十分に食え、十二分に食うな。栄養をとったら、くたびれるまで十分に働け。十二分に働くな。くたびれたら、十分に眠れ、十二分に眠るな。それで肉体の調和がたもてる。脳の調和は、むだな空想にひたらないことでたもて。なにか問題にであったら、ひとつずつよく考えて検討せよ。そして、考えがまとまったら、いかなることがあってもやりとげるのだ。悪い結果になることもあろうが、いずれにせよ、その経験だけは決して忘れてはいけない」

『明治・父・アメリカ』88ページ

学びたいという成長欲
逆境に負けず、勤勉に働くことで得る信頼
楽な道を選ばない目的意識の強さ

77年の人生の一部しかのぞいていないが
素晴らしい人柄と、想像を絶する努力がうかがえた。
200円でこの本と出会えて本当に幸運である。

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