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FemTech -日本・世界の状況、知財の観点
先日、FemTechが今熱いといった記事を読み、FemTechの現状について少し調べてみたくなり、日本・世界の状況、知財の観点から、調査をしてみました。
なお、私自身女性で、PMS(生理前症候群)に始まり、今までの人生の大半を女性ホルモンに操られてきたといっても過言ではなく、もっと早く、この波が来てほしかった、と、少し今の時代が羨ましく思う気持ちを持ちながら、今回の調査を行いました。
-日本の状況
日本でも昨今FemTechが注目を浴びつつあり、経済産業省からも令和2年度に資料が公表されています。
https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/R2fy_femtech.pdf#page=14
切り口としては、1. 月経分野、2. 妊娠・不妊分野、3. 更年期分野からの経済効果や、女性の社会における活躍との関係での経済に与えうるインパクトの考察など、上記概要編の資料は、非常にわかりやすくまとめられています。
-知財の観点から
さて、更年期または更年期対策を検討しようと考えた女性であればおそらく知ってるであろう、大塚製薬のエクオールについて、知財の観点からは非常に興味深い訴訟が行われており、結果としては大塚製薬が勝利している件を、ここで紹介したいと思います。
大塚製薬は、日本の特許第6275313号において、「エクオール含有抽出物及びその製造方法、エクオール抽出方法、並びにエクオールを含む食品」についての特許を取得しているところ、ダイセル社及びAMC社の製造販売行為が、当該特許権を侵害しているとして、特許侵害訴訟をこれら企業に対して起こしていました。
第一審では大塚製薬の訴えが棄却されたところ、控訴審の知的財産高等裁判所での判断は大塚製薬の訴えを認めるものとなり、ダイセル社及びAMC社が、この判決に対して最高裁に上告及び上告受理申立てを行ったものの、最高裁判所において2022年11月11日付けで上告棄却及び上告不受理の決定がなされ、大塚製薬の勝訴が確定しました。
本特許は一つのクレームから成っており、そのクレームの内容は以下となります
【請求項1】(登録クレームがさらに訂正手続きにより訂正されたものが、以下となります)
ダイゼイン配糖体,ダイゼイン及びジヒドロダイゼインよりなる群から選択される少なくとも1種のダイゼイン類にアルギニンを添加すること,及び,前記ダイゼイン類と前記アルギニンを含む発酵原料をオルニチン産生能力及びエクオール産生能力を有する微生物で発酵処理することを含む,オルニチン及びエクオールを含有する粉末状の発酵物の製造方法であって,前記発酵処理により,前記発酵物の乾燥重量1g当たり,8mg 以上のオルニチン及び1mg 以上のエクオールを生成し,及び,前記発酵物が食品素材として用いられるものである,前記製造方法。
すなわちこの訴訟の対象となったクレームは、いわゆる製法クレームであったところ、この裁判の焦点となったのは、特許法104条の生産方法の推定規定が適用されるか否かの点で、結果的には優先権主張の効果が認められることにより、104条の推定規定が適用され、大塚製薬が勝訴したという結論になっています。
なお、本件の日本出願は、現在も分割出願が継続中で、13世代にわたり分割出願がされており、詳細については追い切れていないのですが、大企業の知財戦略の一つとして、参考になる部分があると思いました。
![](https://assets.st-note.com/img/1708909815224-O1R45MnfzY.jpg)
本事件の詳細については、中村合同特許法律事務所の先生方が非常に詳しく解説をされているので、下記参考資料のリンクより、ご覧ください。
また、大塚製薬については、米国子会社が米国のFemTech関連企業を買収しており、FemTech分野における製品等の拡充の姿勢がうかがわれます。
参考資料:
-世界の状況
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