楽器部屋の加湿器の選択と運用について

導入にあたって

現在の住居は立地の影響もあって風通しが良く、キッチンも洗面所もカラッとしており、カビも発生しにくいが、冬場の乾燥がひどいとは思っていた。とりわけタッピング楽器の影響が大きい(ここで一気に共感度が下がる)。タッピング楽器ではなくとも、ギターやベースなどの楽器は冬場の方が厳しい環境であった。そして冬のネック調整量が大きくなることによって、夏の調整も難しくなってしまうという悪循環である。そういえば、人体にも悪影響が大きい(気付くのが遅い)。目が乾く。喉を痛める。風邪の治りも遅い。

湿度計の購入

まず、どのくらい乾燥しているか測るために湿度計を買う。調べてみると湿度計は精度の差が大きく、使っているセンサーで事実上の性能が決まってしまうという。比較サイトで「文字が見やすい」とかそういう面で比べてしまうと一番大切な精度を後回しにしてしまうかもしれない。

それなりにお金を払って良いもの買うしかないか、と思っていたところ、 安価で買えるSwitchBotの温湿度計にスイスのセンシリオン社製という最優のセンサーが搭載されている情報を得た。ほぼ湿度計に関する知識はそのサイトの受け売り。

とりあえず、お試しで一番安いやつを買う。

SwitchBotはバンドル製品もあって正直どれを買っていいかわからないが、お試しで買うなら一番安い温湿度計を単品で買えばOK。

ハブミニを買わなくてもBluetoothで連携すればSwitchBotアプリでデータを吸い出して管理できる。ハブミニがあれば外出中でも温度と湿度が確認できるので気に入ったら追加すると良い。

楽器部屋はそこそこ気密性は高いが、エアコンをつけると、かなりやばいことになる。突然湿度が30%を切る状況はかなり楽器に悪影響を感じる。逆に言うと冬の突発的な過乾燥を防ぐことによって通年のコンディションは維持しやすくなるのではないか、という仮説が立つ。

加湿器の選択

そこでやっと加湿器選びの話になる。大まかに言うと加熱式か気化式の選択になるが、ほぼ逆の特性を持つと言っていい。

  • 加熱式は熱で水蒸気を起こし加湿する。ストーブにやかんを載せるイメージ。

  • 気化式は湿ったフィルターに送風して加湿する。風通しの良い場所にバスタオルを干すイメージ。

両方の良いとこ取りを狙ったハイブリッド式なんてのもある。いろいろと情報収集をすると推されていることが多いシャープ製はハイブリッドである。

しかし、多くの比較サイトでは楽器部屋で使われることは考えられてはいない。そういう用途に特化した記事は見つけられなかった。いくつかのサイトを横断した結果、私が選んだ機種はパナソニック製のFE-KXU05-Wである。

実際に買ったのは楽天でもう少し安かった。

実家で使っていた加湿器はアイリスオーヤマ。安価で加湿能力はパワフルなのだが、周辺に水蒸気が溜まって濡れてしまうのと、給水で周りが濡れてしまいやすい。加熱式は過加湿でアコギが全部死んだ話も聞いたことがあるので、見送ることにする。

多少、値段は張ってもある程度しっかりしたものが良いだろうということでシャープかパナソニックに絞り込む。実際に検討したのはひと回り小さなクラスだが、このサイトを参考にした。

多くの比較サイトで互角に思える両メーカーだが、音楽用途ではパナソニックの静音性はメリットが大きくなる。パナソニックのデメリットは純粋な気化式ゆえに使うと気温が下がることだが、そもそもエアコン対策なので気温が一方的に下がることはないと思う。消費電力がパナソニックの方がかなり小さいのも音楽用途では有り難い。

あとは細かな運用の問題。シャープはタンクを持ち運ばなくても上から給水できるのだが、この際に水をこぼしやすい。ガンガン使うなら1日で空になるので、結局はタンクで給水すると思われる。パナソニックはしっかり蓋をするタイプなので、タンクをセットする際に水をこぼすことはない。パナソニックは上からタンクをセットするので、フルに給水する場合には腰に優しい。ただし、タンクの背が高いので、キッチンでの給水が行いにくいケースはあるかもしれない。

シャープは空気清浄機能付き。これはかなり惹かれるが、多機能であるほど故障リスクが高まる。シャープの除菌ユニットは1年で交換なのに対し、パナソニックの除菌ユニットは特に交換が想定されていない(え?)。フィルターの寿命もシャープが8年に対してパナソニックは10年である。

臭い対策的にもパナソニックやや有利か。どうも空気清浄器に加湿機能があってもカビ対策等メンテナンスが面倒になって加湿機能を使わなくなるようだ。

パナソニック製加湿器の運用

購入した加湿器、FE-KXU05の運用方法だが、SwitchBotの温湿度計の50%を目安に、40%を切りそうな状況なら「静か」モードでタイマーを4時間とか6時間にセットする。給水は数日に一回。稼働率が低いなら1週間持ったりする。夏場は60%が目安なので、60%を目指しても良いが結果的に湿度が上下に振れそうなので、夏と冬で基準が違う方を許容する。

エアコンをガンガン使うなら、加湿器を中か強にする。6畳の気密性の高い部屋なら十分な加湿能力がある。

使ってみて感じたメリット

パナソニックの気化式加湿器は壁ピタでも設置できるように設計されている。送風口から出る空気も特に湿っているわけではないので周囲の物やクロス傷めることも無さそう。なんならカーテンに接していても問題がないはず。設置場所を選ばないというところにメリットを感じた。

楽器はどうなのか

加湿器を導入してから冬のトラスロッドの締め込み量が半分くらいになった。夏はほぼ緩め切る。以前よりも管理しやすい。

まとめ

楽器の乾燥対策は指板に変なワックス塗ってないで素直に加湿器買え。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?