ゴミになるはずだった傘を蘇らせた男の話
皆さんは、お気に入りの傘が壊れたらあきらめて捨てる派であろうか?
もう一年近く前になるかもしれない、10年前に購入したお気に入りの傘、骨の一部が折れてしまった。このままさして歩くとがっかりするほど不格好なので、デザインはとても気に入っているが、この傘を捨てることを考えていた。
しかし折りたたみの傘は、夕方から雨が降るような日は持っていないと不便なアイテムであり、この傘は、さすときに折れた箇所を固定すれば普通に使えるので(使うときはいちいち面倒くさいが)、新しい傘を買ってから捨てることにした。
ところが、新しい傘を物色したものの、ほしいと思える傘がない。
出先で傘を見つけるたびすぐさま近寄り、頭の中に思い描いているイメージの傘を探すのだが、ないのだ。もうこんなことを一年近く続けている。
たぶんきっと、傘を探すだけで半日分くらいはムダにしているかと思う。
ほとんどの店で扱われているのが「wpc」というロゴが入っているものであることに気づき、世の中に売られている傘のメーカーはそんなに多くないのだな。ということがわかった。
これ以上探しても時間をムダにするばかりだ。ほしい傘は自分で作る。もう傘職人にでもなるしかない。
そんなある日のこと、実家に帰った際、母に傘が壊れたと言ったら、修理すればいいんじゃないかという言葉が出てきた。
たしかに、100円ショップやネットで修理グッズを探してみたりもしたが、私の持っている傘にちょうどよい修理グッズがなかった。
また自分で修理してみようと手持ちのグッズでいじってみたが、どうにもならなかったのだ。
しかし、私は大事なことをひとつ忘れていた。
「プロに頼む」
ということだ。
確かくつのかかとを修理をしているお店で、傘の修理もやっていたような、、、
そんなわけで、ミスターミニット丸井錦糸町店にやってきた。
店員の男性に相談してみると、部品があれば、、、と、ちょっと難しそうな感じである。おそらく店には部品がないと思われる。
「そうですか、、、まあ10年も使ってる傘なので、いいかげん買い替えばいいんですけどね、、、」
私が残念そうにしていると、彼は念の為とおもったのか引き出しを取り出してがさごそしだした。部品を探し始めたのである。
ひとつずつ手にとって見ては、これは違う、これも違うといった具合に合う部品を探しているが、私の目から見てもこの傘の折れた骨と同じ形状のものはなさそうである。
「とりあえず、直るかどうかやってみます。」
「え?」
なんと彼は、通常の傘修理費1,100円、傘を預かって修理して直ったら支払いをするという提案をしてくれたのだ。期間は一週間。
やるだけやってみるという彼の心意気に職人魂をみた。
一週間でも一ヶ月でもあたしゃ待つよ。
がしかし!
傘を預けてから3時間半後くらいだっただろうか、一本の電話が入った。
店員の男性からだった。
「直りました。」
「えええ!直ったんですか?」
普段あまり喜怒哀楽を大きく表現することのない私が、めずらしく歓喜の声を上げた。
「すごい!うれしい。ありがとうございます。一週間かかると思ってたのに」
「夕方時間があったので。部品は、、、作りました。」
「作ったんですか?さすがっ!」
明日取りに行くと言うと、明日は雨なのでご無理なさらずにと言ってくれた。なんて心遣い。
翌日、午前中は雨が降っていたが午後から止んだので傘を取りに行った。
彼が手作りしてくれた部品で取り替えた箇所を丁寧に教えてくれた。
なんかもう、通常の修理費1,100円だけじゃ申し訳ない気がして、支払いの時に「いいんですか?」と聞いてしまったくらい、お値段以上のことをしてもらった。
10年も使い続けて、買い換えてもおかしくないのに、彼はそれを大事に使っていると言ってくれた。
壊れたら捨てる。
そして買い換える。
このルーチンが当たり前だと思っていたが、この3年くらい捨てまくってきて私に、捨てないで解決する方法もあるのだと、彼が教えてくれた。
そういえばたいていのミニマリストさんは、長く使うつもりで良いもの(つまりちょっと高額)を買っている。
これからは、捨てることばかり考えず、直して使う。も視野に入れていこうと思う出来事であった。
ミスターミニット丸井錦糸町店のスタッフのお兄さん、ありがとう!!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?