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燃えよ、あんず。余韻がとまらない。

燃えよ、あんず。あらすじ。
ものがたりの語り手、オサムさんは、下北沢の片隅に小さな書店「フィクショネス」をかまえるちょっと偏屈なおじさんです。
作者の藤谷治さんがかつてやっていた本屋の、ある常連の女の子に起こったできごとを、小説にして書こう、とはじまります。
オサムさんの店にしょっちゅうやってきては本を一冊も買うことなく居座り、おしゃべりするだけして帰っていく若い女の子、それが主人公の久美ちゃんです。
物語は、オサムさんと久美ちゃんが十数年ぶりに再会したことをきっかけに大騒動へと発展していきます。

以上、巻末の「解説」の文よりかなり引用させていただきました。

僕も、昔古本屋をやっていました。
だから、本屋さんでこの本の帯を見かけて、つい手に取ってしまった。
そして、出だしのところを読んでてっきり本屋さんが中心になって物語が展開すると思い込んで買ってしまった。

店主のオサムさんが集客の一環として企画した「文学の教室」というイベントにも親近感を覚えました。
僕自身も古本屋内で「本の力」という本の紹介イベントをやっていたので、読んでいてワクワクしてきました。

その文学の教室からの繋がりが、後々物語を面白くする。

さらにオサムさんは、売上不振を打開すべく「チェス・将棋大会」を企画してする。
ここからも物語の、膨らみの種が芽生える。

しかし、本屋さんの物語と思い込み、話がズレていくことで、僕の読む気が削がれていく。

これを打開すべく考えたのが、Facebookでこの物語のあらすじを書き綴っていくことでした。

眠気防止策でもありましたけど(笑)

とにかく、読んだ分だけ書きたくなるのが最近のぼくの習性なのか、書けば書くほど目が冴える。
しかも最近健忘症が始まったんじゃないか、と思えるほど話の筋を忘れる。
それを防止してくれた。

さらに多少ではありますが、読んでくれた人の目を意識して、読まずにいられない状況に追い込まれた感じがしていきました。

だから、本の半分ぐらい(200ページぐらい)まで、実はそれほど面白いと思わなかった。

半分は、Facebookにあらすじを書くために読んでいました。

ところが半分過ぎから、話が段々と面白くなった。
そして、ラスト100ページぐらいから、サッカーの試合で最後の最後に負けているチームがやる、ゴールキーパーも含めた全員攻撃的な展開になって、ページをくる手が止まらなくなった。まさに怒涛の展開。

そして、帯に書いてあった
グランドフィナーレを迎える。

そして・・・さすがにこの後は書けません。
ラストのラストは無呼吸読書と思えるほどの熱中読み。

一昨日、真夜中の3時過ぎに読み終わって、その余韻が丸一日経っても治らない。

なので、書かなくてもいいこんな文章をダラダラと書いてしまいました。

吐き出さないと、次に進めない。
(次の小説に進めない)
この物語は、
たくさんの言葉に尽くせないいろんなものを受け取った気がします。

人は自分が知らないところで誰かの人生に少なくない影響を与えているんだなぁと思いました。

あっ、ヤバイ、また、ネタバレを書きそうになってる。

もうやめておきます。

この本は僕の小説体験の中で初めて、後半から面白くなった本でした。
人それぞれ引っかかるフックは違うと思うので、絶対のおすすめとは言い難いです。

しかし、僕の中では、今年No.1の本となりました。

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