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サービス

※2021年10月18日投稿分

おはようございます。井手です。
外の香りはすっかり冬になって、鼻から息を吸うとツーンと痛くなるほどです。

今日は、料理人にとって「サービス」がいかに大事か教わった時のお話をしようと思います。
(※いつもに増して長文です)

私は専門学校を卒業して初めての職場が前職のレストランでした。
大半のお店がそうかと思いますが、まずはサービス(ホールでの接客)から始めます。

当時の私は極度の赤面症で、人前に立つのがとても苦手でした。
お客様と会話することはおろか、フランス語の料理名と説明を覚えられず、お客様を目の前にすると緊張で台詞が飛んでしまい固まってしまうほどでした。

さらに入社1ヶ月後、唯一居た先輩の女性スタッフも辞めてしまわれました。
途端に、ホールを1人で担当することになりました。
サービスの重要性を理解していなかった私は、調理師学校を卒業して早く料理のことを習得したいのにどうして苦手な接客をしなくてはいけないのかとまで思っていました。

それから1ヶ月後くらいのことだったと思います。
その日、お客様にファーストクラスのCAを育てていらっしゃるという先生がご来店されました。

社長のお知り合いということもあり、ランチの営業後も店内に残っていらっしゃいました。
しばらくしてその方が、片付けをしている私を呼び止めて何気ない会話をしてくださいました。

するとその方が突然
「ねえ、今すごく厨房に入りたいでしょ。すごく料理がしたいでしょ。」と言われました。
私はその言葉の意味を理解しておらず、躊躇なく「はい!」と言ってしまいました。(笑)
その方が続けて「でもそれね、お客様には一切関係ないことなのよ。」と一言。
私がサービスではなく料理をしたくてたまらないことが接客に露わになっていることを言われたのでした。

さらに私にお水を出してみてちょうだいと言われたので、いつも通りテーブルにお出ししました。
すると水の方ばかり見て、お客様の顔を見ていないと指摘されました。

今までの料理を出す時もそうだったそうです。
私は料理ばかりに意識が向いて、お客様のことを全く見れていなかったのです。

サービスマンはお客様が快適に過ごし、食事を楽しんでいただく為に全力を尽くさなくてはいけません。
お客様は食事をする為に、お金だけでなく時間を使って来てくださっています。
人前に立つのが苦手というのは言い訳にもなりません。

サービスひとつでお料理を美味しくもできるし、不味くすることもできるのです。

私はこの時、そのことをまざまざと思い知らされました。
その日からサービスに対する考えがガラッと変わってしまいました。

このことは後に精肉店の方で店頭の接客を任された時にも活きていました。
とにかくどうしたらこの商品の魅力を知ってもらえるだろう、お客様に喜んでもらえるだろう、買っていただけるだろうかと考えていました。

さらに大切なことは、とにかく愛をもってお客様と接することです。
誰でも自分にとって大切な人、特別な人には自然といい物や時間を提供したいと思うはずです。
お客様一人一人が自分にとって大切な人と考えると、とにかくその人の為に喜ばれることをしたいと気持ちが働きます。


私は入社当初にこの出会いがあって、そこからさらにそのことを深く考える機会を与えられたことに感謝しております。
これからまだまだ料理人としての人生を進んでいきたいと思いますが、その土台として何より大切なことを学んだというお話でした。

長々すみませんでした。
最後までご覧いただきありがとうございます。


それでは本日もよろしくお願いいたします。

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