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重症脳梗塞からの回復記9ー車椅子が100円で直ったよ!

車椅子とのお付き合い


我が家で車椅子を使い始めたのは、たしか発症して7〜8年頃からかなと思います。夫は60歳の時に発症しましたが、ずっと歩行訓練を頑張って、外は一本杖を使って歩いていました。

ひたすら歩く練習を重ねても、徐々に歳はとりますし、なんといっても住む地方が11月くらいからは雪がちらつくようになってくるので、それから半年近く、歩行訓練ができなくなります。

毎年頑張っても、加齢もあって、外を歩くのは少し不安が出てきたので、外祝の時は車椅子を使いましょうかということになりました。
最初はスーパーでも書店でも、そちらに置いてある車椅子を借りて使っていましたが、やはり自分のがあった方がいいかもね、ということで、自然に車椅子の必要性を感じるようになりました。

おばあちゃんの車椅子


幸い、我が家には古い車椅子がひとつありました。
おばあちゃんがつかっていたものです。ずっと車椅子に乗っている生活でしたので、古いとは言っても頑丈で、車輪も大きくて自走できるので、これが便利だねということで、最初はこれを使いました。この車椅子は、普通のタイプといいますか、よくいろんなところで使われているものです。

タイヤが空気を入れて使うタイプなので、比較的自走しやすく、スーパーや本屋さんに出かけたりする時は、この車椅子はとても便利でした。タイヤがある程度大きい方が、それなりに使いやすいな、とこの時思ったものです。

でも、問題はちょっと重いのです。18.5キロもあります。私がこの車椅子を我が家の車に積み込む時はけっこう大変です。そこで夫専用の車椅子をやっぱり探そうという気になりました。おばあちゃんの車椅子にも助けられたんですけどね。

娘が買ってくれた車椅子ー足台を動かせるし、パンクもしない!

そこでいろいろと探してみたら、何と今の時代はそもそも車椅子自体がたくさんあることを知って、感心してしまいました。そういえば、おばあちゃんも最後の方は、施設にある立派な車椅子(リクライニング式)を貸してもらっていました。身体症状に合わせていろいろあるんですね。

私たちが気に入ったのは、少し小さなタイプです。この車椅子の会社は、社長さんご自身が車椅子を使っていらっしゃることから、いろいろと工夫されたそうです。
一番助かるのは、足を乗せる台のところがはねあげ式で動かせること。
たとえばレストランに行ったりすると、テーブルに近づいて食事をとりたくても、足台がつっかえてテーブルから少し離れてしまうのが、ちょっと食べづらいんです。その点、この車椅子は、足台を上に上げると、テーブルにぐっと近づくことができます。誠に便利です。
さらにタイヤが空気を入れるものではなくゴムなので、パンクの心配がないというのも気に入りました。

ということで、これを6年ほど使いました。

壊れた車椅子の修理その1


使い過ぎたのか、使い方が悪かったのか、そのお気に入りの小型車椅子は昨年くらいから、ブレーキのところがちょっと具合悪くなりました。昨日、とうとう限界かな、という感じで、修理しなきゃという事態に至りました。
これは、けっこう特殊な車椅子なので、販売してくださったところに連絡をしたら、受け取り手配と修理とお届け、というところまでワンセットで、私たちが何の心配もなく、修理をしてくださることになりました。
もうほんとにありがたい…..

なんといっても、車椅子をゴソゴソと車に積んで、運送屋さんに持って行って、どうやって送るのかを相談して………..なぁんて考えるとちょっともう、頭痛が..とか思っていた私は、ほんとに感謝感謝、の気持ちでいっぱいになりました。

次に考えるべきは、この修理が終わるまでどうするか?という問題

代わりに使える車椅子を送りましょうかとおっしゃってくださったのですが、自宅におばあちゃんの古い車椅子もあるからと思って、とりあえずそれはお断りしました。でも、この古い車椅子、どうしてもタイヤの空気がすぐに抜けてくるんです。これどうにかしなくては。

壊れた車椅子の修理その2

施設の人とか、いろいろ聞いてみたのですが、案外車椅子のタイヤがどこで修理できるのかというのがイマイチわからない。どうしよう?

車椅子・修理・という検索ワードで、市内を探してみました。
ここで「自転車屋さん」というのは全然出てこないですし、だれも自転車屋さんということを言わないので、よくわからない私は、自転車のタイヤと車椅子のタイヤは違うのかなと思って、自転車屋さんのことを最初は考えませんでした。

寝具を扱っている会社さんで、車椅子のメンテナンスもやっているというところを見つけてお電話してみたら、すぐにみてあげるというので、閉店時間ギリギリのところを、いそいで車椅子をもって駆けつけてみました。
(ずっとほったらかしていたので、埃だらけにゴミだらけ………ハズカシイ)

5時30分のお店なのに5時27分に到着した私を、みなさん、暖かく迎えてくれました。ベテランの雰囲気の方と、それから若い方が3人くらい出てこられたので、こっちがびっくりしてしまいましたが、「いえ、僕たちもここで勉強させてもらってます!」と。
皆さんとても爽やかです。若い方たちが、こうして車椅子のことを勉強してプロになっていかれるのは、心強いですよねー。

そして、そこでわかったのは、おばあちゃんの車椅子は、なんかゴムを取り替えればいいのだけど、タイプが古いのでちょうどそのお店にそのゴムがないということでした。

「これ、自転車屋さんに行けば必ずあるから、すぐ直してもらえるよ」と言われて、私は目がテン👀

「え?車椅子って自転車屋さんで直してもらえるんですか?」
「そうですよ」

「え?そーなんですかーーーー⁉️」

壊れた車椅子の修理その3

かくして私は今朝、近くの自転車屋さんに車椅子を持って行きました。

昨日教えてもらったことを自転車屋さんに説明したら、どれどれとみてくれて、ささっとなんか空気入れのところのゴムを取り替えて、プシューっと空気を入れて、「たぶんこれで大丈夫だよ」と、あっさり一言。

え?こんなあっさり終わるもんなの?
と私はびっくりです。だいたい、今まで、「車椅子の修理ってどこでできる?」と聞いてみても、「自転車屋さん」という答えが返ってきたことはなかったですし。デイサービスの職員さんに聞いてもはっきりしなかったよ??

「これでつかってみて。2〜3日してまた空気抜けるようだったら、それはチューブ交換必要だからまたきてみてね。」

といってくれたので、誠にありがたく、感謝しながら「お会計お願いします」と聞きました。
「100円でいいよ」
「100円??」

何でしょうかね、この時の感覚。なんというか、世の中って、なんでこう親切な人ばかりがいるんだろうと。
もう少しきちんと請求してもらえると私もありがたかったくらいなんですけど、相変わらず自転車屋さんは「100円でいいから」とあっさりおっしゃるので、そのまま100円をお払いして、帰ってまいりました。

車椅子の修理そのものよりも

おばあちゃんの車椅子が復活して使えるんだったら、新しいの買う必要もないし。大きくて使いやすいし。日常使いだったらほんとにこれだよね!ということで、今、私たちはほんとに安心しています。

考えてみれば、自転車のタイヤも車椅子のタイヤも似たようなもので、どうして今まで自転車屋さんに行くことを考え付かなかったのか、そっちの方が不思議なくらいです。でも、何にもわからない状態からスタートすると、やっぱりその世界の人たちにとって常識的なことであっても、わかってないこと多い。一つ一つが勉強になります。

そして今回思ったこと。閉店間際なのに「今持ってきていいよ」と言ってくれたメンテナンスの専門家さん。そこについて学んでいた若い人たちの親切と暖かさ。そして最後にささっと10分もしないうちに直してくれて、「100円」って言ってくれた自転車屋さん。

なんというのかなぁ。私も夫の病気に付き合ってもう16年半。私自身も年を取りました。だからかもしれませんが、皆さんの温かい親切が心に沁みます。やさしいよね。ありがたいよね。といいながら、今またこれを書き残しておこうという気になりました。

夫が病気になる前。車椅子とか、介護の世界はまったく別世界という感じでした。今は、一つ一つの事柄が胸に染み通って行きます。新しい人生を経験するような感じで、日々が過ぎていく感じです。