ニュース英語をすらすら読む6つのポイント 『大谷選手結婚』
ニュース記事を読むのが苦手という方へ。『今度こそすらすら読めるようになる 「ニュース英語」の読み方』(三輪 裕範 著)が、お薦めです。
ニュース英語特有の6つポイントをつかんでおけば、ニュース英語をより速く、深く読むことができるようになる、と著者は強調します。
(NewsLetter構成の都合上、著書の記述とは順番を変えています)
スペースの都合上、ここで6つ全ては説明できせん。前半の1から3まで、今話題の大谷翔平選手の結婚のニュースを題材にして見ていきましょう。
1.言い換え表現が大好き
ニュース英語は驚くほど言い換え表現が好きです。ニュース英語に限った事ではありませんが、ニュース記事が同じ単語や語句を繰り返すような単調な文章になっていたら、読者は途中で飽きてしまいます。また、そのような文章は稚拙な印象を与え、記者の教養のなさを示すことになるかもしれません。
[誤注]
announcement 発表
come as a shock 衝撃を与える
__-year-old _歳の人
describe 説明する
disclose 明らかにする、暴露する
identity 〔人や物の〕正体、身元
”The Los Angeles Dodgers star”(ロサンゼルス・ドジャースのスター選手)と、” the 29-year-old”(29歳の彼)は、”Ohtani”の言い換えです。
”Ohtani”や”he”などを使用せず、このような語句に置き換えることで、文章にリズムが出てくるのを感じます。
もちろん、大谷選手はとても有名ですので「ドジャースのスター選手」「29歳」が彼のことだとすぐにわかった方も多いでしょう。この言い換えにピンとくることが、ニュース英語読解のポイントのひとつです。
2.ニュース英語は情報追加型
ニュース英語の構造は、後ろに続く文書を読んでいけばいくほど新しい情報がどんどん追加される形になっています。つまり、英文を前から順番にそのまま読んでいくことが、最も合理的、効率的です。
他方、中高等学校の英語の授業で、関係代名詞やthat節などが出てくる英文をこなれた日本語に訳すために、後ろから前にいったん戻らなければならないことを学習された方も多いと思います。
[誤注]
despite ~にもかかわらず
go public 公表[公開・発表]する、公にする
to avoid distractions 集中を乱されないように
上の英文を頭から後ろへと順番に読んでいきます。例えばこんなふうに。
大谷さんは、
「Ohtani」
これまでずっと私生活にスポットライトが当たらないようにしてきました。
「who has kept his personal life out of the spotlight」
その彼が記者団に語りました。
「told reporters」
語った場所はat以下、アリゾナにあるドジャースの春季キャンプ施設です。
「at the Dodgers’ spring training facility in Arizona」
何を語ったかというとthat以下のこと。つまり、ある女性と結婚していたこと。
「that he had married a woman」
どんな女性かというと、次に続くthat以下に説明がある通り、彼の3~4年ほど前からの知人です。
「that he had known for about three to four years」
今回なぜ公表したかというと、理由はto以下にあります。野球に集中することを 将来的に邪魔されないために。
「went public to avoid future distractions」
以上のことを、アスレチック紙が報じました。
「The Athletic reported.」
最初は慣れが必要ですが、後から出てくる情報をどんどん追加して内容を理解しながら前から後ろに読んでゆく、前に戻らない習慣をつけると、読むスピードも速くなっていくと思います。
3.比喩表現が頻出する
ニュース英語の3つ目の特徴は、比喩を使うなどして間接的に表現することが非常に多いということ。欧米の新聞や雑誌編集者は、読者に記事を読んでもらうために、記者にこうした表現上の技巧を強く求めるそうです。
他方、日本の新聞雑誌の記事では、表現上のワザや文章の巧みさなどはあまり求められていません。
事実を伝えるべきニュース記事が、見たまま聞いたままを直接的に表現せずに、間接的な表現が用いられることで、ニュース英語に戸惑った方も多いのではないでしょうか。
でも、「ニュース英語には比喩表現が頻出する」という心構えがあれば、読み方も変わってくるかもしれません。
[誤注]
no longer もはや~でない
free agent フリーエージェント、自由契約選手
dating market 出会い系市場、
フリーエージェント(free agent)とは、特にプロ野球で、一定期間の試合経験を積み、どの球団とも自由に契約する権利を獲得した選手のことです。
上の文章では、独身だった大谷選手をこのフリーエージェントに例えています。ただし、プロ野球選手としてではなく、交際相手に出会う場におけるフリーエージェントです。つまり、あなたと結婚する可能性だってある独身男性という意味です。
その彼が「もはやフリーエージェントではなくなった」ということですから、「あなたが結婚できたかもしれない大谷選手ですが、残念ながらその可能性はなくなりました」というようなニュアンスでしょうか。
この比喩的表現には、その時代の流行や話題、さらにはその国の文化、歴史などが背景にある場合があります。ぜひ、ネイティブスピーカーが講師を務めるETC英会話のレッスンを活用して、ニュース英語の読解にチャレンジしてみてください。
(*)関連リンク
※『今度こそすらすら読めるようになる 「ニュース英語」の読み方』(三輪 裕範 著)
(Amazon Prime会員であれば、Kindle版が無料で読めるようです)
※Shohei Ohtani: Baseball superstar announces marriage to Japanese woman
(2024年3月1日、BBC News)
※Shohei Ohtani is no longer a free agent on dating market: Japanese star announces marriage
(2024年2月29日、Los Angeles Times)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?