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Nancy Wilson ・ Cannonball Adderley

キャノンボール・アダレイの切々としたサックス〈I can't Get Started〉に続く、ナンシー・ウィルソンによる〈The Old Country〉の歌唱はどうだ。

熱いものを身体の芯から絞り出すようだ。

イスラエル民謡をもとにした曲で、メロディーはマイルス・デイヴィスやスタン・ゲッツがスウェーデン民謡『麗しのヴェルムランド』 を元に書いた『懐かしのストックホルム』(Dear Old Stockholm) に雰囲気が似ているという。

デリケートな曲調。
訳がしたいのか、私は。

Don’t nobody need you old man
'Cause nobody calls your name 
Nobody's gonna whisper
What a doggone shame

So the cold grim reaper
Has no sympathy
You won't see your homeland
’Cept through me

"おじいちゃん  誰があんたなんか必要としているの
あんたの名前呼んでいる人なんているの
誰があんたに囁くというの
犬も喰わない恥を晒すことね

死神は同情しない
あんたは故郷に戻れない
私の免状を得るしかないわ”

side twoに移って〈Happy Talk〉。

ミュージカル「南太平洋」の〈Younger Than Springtime(春よりも若く)〉のすぐ後に歌われる曲だ。

Happy talk, keep talking happy talk
Talk about things you'd like to do
You gotta have a dream, if you don't have a dream
How you gonna have a dream come true?

幸福な話 幸福な話を続けましょう
あなたがしたいように会話しなさいな
夢みないとだめでしょ 夢を持っていないなら
どうやって夢は訪れる?夢は叶う?

わくわくする曲じゃありませんか。

ちなみにこのあいだ、本屋時代のメンターと東京で会ったさい、「君の中で一番”黒い”ジャズって誰なの」と訊かれて答えに窮してしまった。

何日も考えてふっと浮かんだのはキャノンボールだった。

体格を生かした飄々としたプレイに、魂〈SOUL〉が込められているように、いつ聴いても唸らされる。

もっとも、最近の自分はRay Bryantとも応るのだが。

私の光です。

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Nancy Wilson (vocal)
Cannonball Adderley (saxophone [alto]) 
Nat Adderley (cornet)
Sam Jones (bass)
Louis Hayes (drums)
Joe Zawinul (piano)

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