法事に行ってきた(2)

夜ごはんはホテルで焼肉のコース料理だった。
信州産の野菜やリンゴで育てられた肉などが出た。
美味しくいただきました。

法事はやっぱりひと区切り感が強い。
父はトイレで倒れてあっという間に亡くなってしまったので
しばらく現実として受け止めるのに時間がかかった事を思い出す。
最期に会ったのは短大の卒業式の後だったな。
実は私は36歳で通信制の短大に入学して、心理学を勉強をしていたのだ。
本当は短大で卒業するつもりだったがスクーリングで一緒になった友達から
「エスコさん、あと2年頑張って大卒になろうよ」と誘われ同じ系列の大学の3年次に編入することになっていた。
でもそれを父に話せなかった。卒業できる自信がなかったのだ。
短大の卒業証書を見せたら父は「君はすごいな」とポツリと言った。
その時お祝いでお金をもらった記憶がある。
『大学のことはちゃんと卒業出来てから言おう』と思っていた。
大学はちゃんと卒業出来たけれどそれを父に伝える日は来なかった。
今が永遠に続くという保証はないと実感したのが父の死だったような気がする。

美味しいご飯を食べた後は大浴場で疲れを癒す。
残念ながら温泉ではないのだけど炭酸泉があった。
そこで母とお風呂に漬かりながら延々と話す。
お風呂上りは部屋飲みだー!
ちょっと冷えた赤ワインを飲みながら息子と3人で喋る。
話はこれからの私の生き方についてになった。
「えー、なにしようかな?でももう会社には属したくないんだよね」
前の会社で嫌な思いをしたのでもうこりごりなのだ。
「占いでもやろうかなー?」と冗談っぽく言っていた。
すると母が「エスコはさ、文章を書いたらいいと思うよ」と急に言い出した。
「ええっ!?」母からそんな言葉が出るとは思わなかったのでビックリした。

幼稚園の時にワークブックのようなものがあった。
年長組の時に最後のページにちぎり絵で白うさぎと黒うさぎ、
フクロウが描かれていた。
それに合う文章を書きましょうというワークがあった。
私は想像力が豊かな子供(自称)だったので
2匹のうさぎがパーティーをするのに材料をさがす
→でも見つからない→フクロウ博士に尋ねる→見つかった!
→じゃあみんなでパーティーをしよう
というストーリーを作った。
母はこの物語をとっても褒めてくれた。このワークブックだけは未だに実家に取っておいてあるらしい。

母はこの時の衝撃を半世紀も引きずっているようだ(笑)
そうか、文章書くのいいかもね。
子どもの時は本を読むのも文章を書くのも好きだったもんな。
そんな母の何気ないひと言は”忘れていた感覚”を思い出させてくれたように感じた。
そして長い1日は終わった・・・つもりだった。
午前3時半頃から息子のいびきがうるせーーーー!!!
セミジュニアスイートルームという部屋だったので息子との距離をあえて離したのだがそれでもうるせーーーー!!!
私は慣れたものだから意識の遠くで感じていたが母はビックリして目覚めてそれから眠れなくなったらしい。
隣のベッドでガサゴソするから私も気になって目が覚める。
結局朝6時から母と二人で大浴場に行くことに。

翌日は軽井沢の街を走り抜け見晴台へ。
信州の山々が見えて本当にキレイだった。
平日なので人もまばらなのがまたいい。
そして途中寄り道をしながらも無事に帰ってきました。
お父さんのおかげでいい思いが出来ました。ありがとう。


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