見出し画像

専門調査員試験(2) 出願準備・書類【後編】

※本記事は前編と後編に分かれています。前編はこちらです。

皆さん、こんにちは。本ブログをお読み頂きありがとうございます。

本稿は「在外公館専門調査員試験」の出願準備と書類についての記事の後編であり、③「調査研究実績概略」と④「専門領域・志望動機」について、私が実際に提出した文章を交えてご説明しています。
①「募集ポスト・担当事項」と②「履歴書・身上書」については以下の前編にまとめていますので、こちらも併せてお読みください。

③調査研究実績概略

・代表的な論文のタイトルおよび要旨

ほとんどの学生の方は、修士論文もしくは博士論文について書くことになると思います。
私も修士論文について300字ほどでまとめました。

ここで気をつけるべきポイントは、
・その分野を専門としない人が読んでも分かるように、平易な言葉で書く
・英語論文である場合、タイトルを日本語に訳す(私は英語のままタイトルを書いてしまいましたが、不親切であったと反省しています)
等が挙げられます。

前記事でも申し上げたように、書類審査にあたるのは外務省本省ではなく国際交流サービス協会(IHCSA)の方ですから、ご自身の専攻外の方にも伝わるように心がけることが重要です。

・調査・研究実績

以前、友人から「"研究テーマ"の欄には自分の論文のタイトルを書くのか?」と質問を受けましたが、「学部卒論・修士論文・博士論文」にタイトルを書く欄がありますので、専攻分野を書くことをお勧めします。
私は専攻と研究テーマを併せて次のように記載しました。

専攻:移民研究(特に、国際社会と難民の関係)
研究テーマ:移民政治学、難民問題、日本の政治と文化(指導教官:○○先生)

「専攻」はご自身の学位の名前(国際関係学、経済学など)、「研究テーマ」は論文の概要欄に記載するようなキーワード、と捉えて頂くと分かりやすいかもしれません。

何にせよ、タイトルではなく専攻分野を書くことで、ご自身が応募されているポストと専攻の関連性が審査員側に分かりやすくなると思われます。

・その他の主要な研究報告書・学会発表など

私はないため「特になし」と記入せざるをえませんでしたが、修士課程の学生(特に人文科学系の専攻であったり、1年制のプログラムの学生)は学会発表をしていなくても不利にならないのではないか?と想像しています。

④専門領域・志望動機

・設問A「専門領域および経歴」

私は大学・大学院での専門領域と、大使館での非常勤職員としての経験を分けてアピールしたかったため「1) 専門分野について」と「2) 職務を通じて得た成果について」の2つのセクションに分けました。
特に、大使館での経験は派遣地域に関係なく「専門調査員」として働くうえで有利になると考え、1)は約240字で納めたのに対し、2)は約600字分記載しました。

職務経験を記載するうえで重要なのは、仕事の説明ではなく何を達成したかを述べることです。
数字で分かりやすくデータを出すことも良いですし、そうでなくても自分がその経験を通じて何に貢献し、どのような能力を得たかを書くことで、審査員にもあなたが専門調査員として活躍する具体的なイメージを持ってもらうことが出来ます。

また、これまでの社会人歴が長い、もしくは多くのインターンを経験された方はどれを選ぶか迷われると思いますが、あくまで専門調査員という仕事に結びつくものを選ばれると良いと思います。
私自身も、大使館以外に日本とイタリアの難民支援団体でのインターン経験に言及するか迷いましたが、これらは大使館とは違って民間の団体であったため、履歴書への記載のみに留めました。

以下は、私が実際に提出した経歴の抜粋です。
太字部分が「何を達成したか」に言及しているところです。

私はXXXX年X月からX月までインターン、同年X月からXXXX年X月まで非常勤職員として駐日〇〇国大使館に勤務し、外交政策に係るレポート作成・イベント運営・広報・翻訳などを担当致しました。

① レポート作成:主に英字紙や○○国外務省のホームページを参照しながら情報を収集し...本国外務省に提出しました。素早く必要な情報を見つけ、簡潔に要点をまとめるよう心掛けました。
② イベント運営:大使館が出展する観光促進イベントの準備と運営を通じ、人員・時間・予算が限られている中で優先順位をつけながら効率的に調整を行う能力を養いました。大使館員や...他団体とのコミュニケーションでは、逐一確認を怠らず、互いの理解に齟齬が生まれないよう努めました。
③ 広報:同大使館と特命全権大使の公式Facebookの更新を担当し、XXXX年X月~X月の1か月間で、ページエンゲージメント248%、ページリーチ242%、ページ閲覧数98%の増加を達成しました。それまで英文のみで更新される投稿が多かったところ、和文と英文で投稿を行う・○○国を知らない方のために基本情報と豆知識をふんだんに盛り込む・政府観光局の写真を多く用いて目を引く投稿を目指す...などの工夫を行い、投稿への反応を確認しながら試行錯誤しました。

・設問B「志望動機」

あくまで私個人の意見ですが、学生の方が応募される場合は特にここが1番大事ではないかと思っています。
なぜなら、ここで「将来の進路希望」に触れるよう指定されているため、学生の方も経験ではなくモチベーションによって説得力のある志望動機にすることが出来るからです。

第1希望・第2希望への思い入れが強い方はご自身の専門とそのポストの関連性に触れる方もおられるかもしれませんが、それは③「調査研究実績概略」や設問A「専門領域および経歴」で十分に伝わっていると思われます。

また、前記事で述べたように、私自身も自分の専門地域ではなく専門調査員自体の志望動機に近いポストに合格しましたので、第1・第2希望のポストでなければ行きたくないという方以外は、純粋に専門調査員の志望動機を記述した方が得策かもしれません。

以下が私の志望動機の一部です。

私は在外公館の一員として、日本が国際社会に与えるインパクトと、その背景にある外交政策への理解を深めるため、外務省在外公館専門調査員を志望致します。なぜなら、政府開発援助(ODA)などに代表される日本の国際協力の方針は外交政策によって策定されるものであり、国際社会での日本のプレゼンスを高める手段である「国際協力」を正しく理解するには、在外公館という外交の最前線に身を置く経験が不可欠だと考えるからです。

(以下、将来の進路希望)

次回の記事は、1次試験のうち「外国語筆記」についてです。
私は試験言語が英語でしたので、その傾向や対策がメインになります。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?