ザトウクジラとの出会い
こんにちは 今回は、私の思い出話にお付き合いくださいませ。
小笠原諸島でのドルフィンスイムの帰り、島へ戻る船からぼんやりと夕日を眺めていました。その時、遠くにクジラの尾びれがスッと沈むのを見たのです。これがザトウクジラトの出会いでした。
ザトウクジラにもっと近くで会いたい。
その一心で、シーカヤックでのホエールウォッチングのアラスカツアーに参加しました。ゲストは私を含め3人。ガイドさんはアラスカ ジュノーの空港へ迎えに来てくれていました。
2人乗りのシーカヤック 2艇で南東アラスカ沿岸を巡る旅。
手が届きそうな距離にまでクジラが近寄って来てくれたり、カヤックがひっくり返りそうになるようなブリーチング(クジラのジャンプ)で水しぶきを浴びたり、仔クジラのスパイホイップ(水面から顔を出して眼で周りを確認する行動)に見つめられて、心臓がバクバクしたり、シャチの群れや、波間に漂うラッコたち、魚を狙い頭上スレスレをすり抜ける白頭鷲、、、クジラのブロー(息継ぎの音)を聞きながら眠る夜、完全な静寂に包まれる朝、その静けさを破るブロー。。
何もかもが神々しい、瞬く間に過ぎた夢のような時間でした。
ザトウクジラは、冬場、出産、子育ては小笠原やハワイのような暖かい海域で、食事は夏に、冬を越すための脂肪を蓄えるため主食のオキアミやイワシが豊富なロシア、アラスカ沿岸などの極地を訪れます。その数千キロの移動ルートの調査から、小笠原にいたザトウクジラがアラスカで確認されたことも。
小笠原で会ったザトウクジラもアラスカに来ているかも知れない。そう思うとただ嬉しかったのです。
今、この同じ地球にザトウクジラたちも暮らしているということ。
もう、それで充分でした。
でも、もう一度、夢を見たくて翌年の夏、会社を辞めて一人でアラスカへ戻りました。
憧れのアラスカ。水陸両用のセスナ機をチャーターし、無人島へ。
そして、そこで見たのは、惑星としての地球の姿。
それは優しく包んでくれる大自然ではありませんでした。圧倒されるだけの巨大な生き物の前では、私の存在など何の意味も持たないと思い知らされただけでした。
自分のちっぽけさ、そんな言葉も意味を持たない命の儚さ。でもそれは、自分が、今ここに生きている、ことを実感した瞬間でもあったのです。
生ききろう、心からそう思いました。
町へ戻りアラスカを経つ前日、B&Bのオーナーさんがもう一度クジラに会いに行こうと船を出し、水中マイクを使ってクジラたちの声を聴かせてくれたのです。
ザトウクジラたちは歌うクジラともいわれ、その歌は1000km以上離れている仲間にも届くともいわれています。グループごとのテーマ曲やその季節の流行り歌もあるとか。
クジラの歌は地球を癒し、宇宙に拡がるともいわれています。地球がその気になれば人間などひとたまりもないはず。。地球に癒しが必要なのかしら、とも思ったけれど、私たちと同じように、優しい面や荒々しい面、傷つきやすかったり逞しかったり、いろんな顔があるのだろう、、そんなことを考えながら歌を聴いていると、いつのまにか、船の周りのたくさんのクジラたちは何処ともなく去っていました。
なんとなく取り残されたような気持ちと、私はとても幸運なのだという気持ち。
また来ようという思いと、これが最期かもしれないという予感。
いろんな想いがごちゃ混ぜのまま帰国。同じ星とは思えないくらいのギャップに、しばらく混乱していたけど、今この瞬間もクジラたちは歌っていて、どこかでブリーチングしていることを知っていれば、こっちでもやっていけると思えました。
今回の見出し写真は、イルカたちが暮らしている長崎の橘湾。うちから車で30分くらいで到着。時々ここに来てクジラたちに思いを巡らせたりしています。
ザトウクジラたちの旅の安全と地球の繁栄を願います。
感謝と共に。
ではまた。
頂いたサポートは、アラスカの自然保護団体KHLT へ寄付させていただきます🙏