見出し画像

mother's history No.12 生活のリズムを狂わす、この大雪。

余りの大雪で、生活のリズムが狂う。
電車は止まるし、学校は開いているか否か?
父も、会社に行っていないし、兄は返ってきたり来なかったり、
所在すら不明の状態。
この家庭は、どうなるのでしょうか。
すごく心配になる、冬の小さな家庭の物語です。
無理して勉強しなくてもいいと、父は言う。
変った家庭かも知れない。
と芳美には映ったに違いない。
でも勉強をしないといけないことは、いや程分かっている。
炬燵一つで、この家庭の寒さをしのぐことができるのであろうか。
何やら、不思議な力でこの家庭は結ばれているように思えた。
さつまいもを油であげたものが、この家庭を結び付けている。

1月20日
朝起きたら兄が、来ていた。げんかんにはスキーが置いてあった。8時30分ぐらいに、スキーに乗って、ガメ山をすべってうすお*の方から、木田さんに行って、ドーナツを買って来てくれた。
10時から、妹、母、兄、私はお茶をのみながら、おやつにした。
午後3時ごろ、兄が「何かうまいの作っておけ」といったので、母はさつまいもを油で上げてごまとさとうをまぜて、持って来た。とってもおいしくて、たくさん食べた。
今日も、ぜんぜん勉強しなかった。いつも9時間、10時間と眠っている。どうしたもんだろう。
                (誤字脱字は修正 その他は原文のまま)
 うすお:寺村から2つほど離れた所の集落

1月21日
朝、すごい吹雪だった。
学校行くんかなどうかな、と思っていた。妹が礼子ちゃんどこへゆう線電話聞きに行ったら、また連絡するまで家に居よとのことだった。8時10分ぐらいのとき、母が学校から帰って来て「小学校、ご飯だけ持て学校に行きなさいってね、おつゆは出るから」と言った。
学校で、増田ともえ、薮内くに子、山本芳美の大仲よし3人でしょうら来のこと話した。増田さんは、親のない人やそんな所みたいなしせつへ行きたいと言った。薮内さんは、女じえい隊だし、私はネクタイ、ハンカチ売りや料理(すし屋)の店員になりたいと言った。
「だれがいちばん先、よめに行く!」と、言うので、3人とも「私よめに行かん」と言ったが、後で「きっと芳美ちゃん一番先に飛んで行くわ」と言ったが、私は増田さんみたいな気がした。
だれが一番先に、よめに行くだろうか。
                (誤字脱字は修正 その他は原文のまま)

1月22日
朝、兄が大学通知するのに、朝、母ゃ父とてんやもんやして行ったが、電車が通っていなかった。
だから、歩いて私たちは行かないといけなかった。朝9時30分ぐらいについてから、「もう一時間目終わるだろうから、教室に行かんと待っていよか」と言ってメザラの上で待っていたが、青山はるみちゃんは「こんな事しているのいやで教室行こさ」と、言ったのでしかたがないからたえ子ちゃんといっしょにに、教室に行った。
朝一時間目社会だったから、西岡先生はきていなくて、吉岡先生だったから読まされてしまった。
A組では、一限目数学で、たえ子ちゃんや愛ちゃんやおくれた人らみんな「上野*から二時間もかかるんか」と、言ってポカリポカリたたかれたのだそうだ。
私たちもあす一限目数学だから、早く行かなければやられるかなと思った。
                (誤字脱字は修正 その他は原文のまま)
 上野:寺村の隣の集落(うわのと読む)

1月23日
電車が、なかなか来なくて8時13分の電車に乗るつもりだったのに10時何分かになってしまった。もう二時間目の終わりごろについた。1限目の数学はしなくってよかった。
夜はすごい吹雪で、電車が通らなかったらしい。
兄は、とうとう帰ってこなかった。「きっと、どこか友達の家にとまっているのだろう」と、言っていたが、やはり心配らしいかった。
夜は、ガタガタとが鳴るし、母は「昭久はようりょうが悪いで、足ぶみしてイライラしながら電車まっているんかも知らんや」といったり、「きのう10時から、ずっと起きているんにゃでね雪だおれでもしなければいいが」と、言っていた。
夜の食事はとても静かだった。こんなに家が心配していても、兄はふかふかの寝どこで眠っているかも知れないから、とりこしぐろうかも知れない。
 🔶大吹雪 帰らぬ兄を 待ちわびる
                (誤字脱字は修正 その他は原文のまま)

1月24日
朝、すごく吹ぶいていた。
秋代が、学校どうなっているか、下の家へゆうせん電話を聞きに行った。ブツブツ言いながら母は父に「ほんとうにうちらも ゆうせん電話買わなんで
」と言って、こぼしている。
私は、そうだと思った。でも休みだったのでスッとした。
勉強しようとしても、手や足がかじけてできない。でもアンカーを持って来てした。レイ下2度しかない。父も会社へ行かないで休んでいる。
午後は、ズツと昼寝して、夜「まぶたの母」という題のテレビ見て、12時に眠った。
兄は今日も、帰って来なかった。兄が友達の所へとまっているんだろう。
父は、夜勉強していると、「あんまりむりしてせんかっていい」と、言う。よその家の人とは反対だと思った。
                (誤字脱字は修正 その他は原文のまま)


                                                                                          

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?