「3つの無」でいいのだ:『キリン解剖記』(郡司芽久 著)
キリンの首の謎に、夢中になる日が来るとは思わなかった。
この本はキリンへの興味と関係なく、こんな人におすすめだ。
こんな人におすすめ
①将来、研究者になりたい人
②やりたいことを見つけたい人
➂自分のやりたいことが無意味に思える人
「学ぶ」ことのヒントがつまっている
こんな書き出しで始まるけれど、「解剖」という言葉に驚いて、
読むのをやめてしまったらもったいない。
日本にいながらおそらく世界で一番キリンを解剖し、
世界ではじめてキリンの第一胸椎の仕組みを明らかにした
郡司さんの研究姿勢は、専攻や職業を問わず参考になる。
指導してくれた先生やお母様の話など名言やエピソードにも
「学ぶ」ことのヒントがたくさんつまっている。
キリンに興味がない人、解剖に抵抗がある人はココを読んで
キリンに興味がない人と「解剖」という言葉に抵抗がある人は、
ここだけ読んでほしい。
・お母様と「学び」のエピソード
→ コラム「キリン研究者の育て方」(p201)
・博物館に根付く「3つの無」
→「おわりに」(p211 、6行目)
博物館に根付く「3つの無」
たくさんの名言とエピソードのなかで、とくに知ることができてよかったのが、博物館に根付く「3つの無」という理念だ。
私はいま、あれこれ掘り下げて調べることがとても楽しい。
レベルは違えど、「研究」だと思っている。
けれど、私は博物館の職員でも、研究者でもない。
自分がやっていることは誰かの役に立つわけでもないし、意味がないのではと考えることがある。
なるほど。
私が使っている資料も、100年以上前の資料を参考文献に挙げている。
もしかしたら、この資料を作った人も、その参考文献の資料を作った人も、「それなんの役に立つの?」と言われていたかもしれない。
私が研究を進められているのは、それでも資料を残し続けてくれた人のおかげだ。
100年後の私が調べているくらいだから、次の100年後もきっと誰かが調べているだろう。
その人のために、私も研究し続けよう。
無目的、無制限、無計画。
一般市民の研究も、「3つの無」でいいのだ。
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