真昼間の死闘 第1話

圭一郎はある男と会うため自転車に跨った。大きなリュックを背負っている。リュックと言ってもよく見るスクエアな黒いやつだ。リュックの中には特別なモノを入れてある。ブツだ。

鈴木はある男と会うために公園に向かっていた。鈴木は大きな樽を抱えている。樽の蓋には柄杓がくくってある。3、4歩歩く度に樽を地面に置き、腰に手を当てている。息は上がり、顔面を滝のような汗が伝う。ここまでよく運んできたものである。

冬も終わろうかという頃ではあったが今日は特に暑い。圭一郎と鈴木は古い知り合いである。仲が良いわけではないが仲が悪いわけでもない。遺恨も何もないのだが、圭一郎は鈴木がなんとなく嫌いだった。それを察してか、鈴木は鈴木で特にきっかけもないが、圭一郎が嫌いだった。

圭一郎は数年前、突拍子もないことを思い付いた。

そうだ京都行こう。行かない。

そうだ鈴木をクソの海に沈めてやろう。でかい入れ物にくそを溜めて、そこに鈴木を落としてやる。決まりだ。善は急げだ。

そう思ってから15年が経っていた。

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