🀔「プラセボ察照詊隓の被隓者等に察する倫理的配慮に぀いお」

新型コロナりむルス(SARS-CoV-2)ワクチンの評䟡に関する考え方(補遺 2) プラセボ察照詊隓の被隓者等に察する倫理的配慮に぀いお
什和3幎6月11日 独立行政法人医薬品医療機噚総合機構 ワクチン等審査郚
1. はじめに
2020 幎 12 月 2 日に英囜においお初めお SARS-CoV-2 ワクチンが䞀時的認可されお以来、
䞖界各囜及び地域では耇数のワクチンが緊急䜿甚蚱可又は承認されおおり、ワクチン接皮 は急速に進んでいる。我が囜においおも什和 3 幎 2 月 14 日に最初の SARS-CoV-2 ワクチン が承認されお以降、囜内での接皮人口を拡げるための様々な努力がなされおいる。
そのワクチンの開発に際しお、臚床詊隓における有効性及び安党性の評䟡は䞍可欠であ る。その䞭でもプラセボ察照臚床詊隓は、プラセボ矀を蚭定し盲怜化及びランダム化を導入 するこずで被隓薬の薬理䜜甚以倖のすべおの朜圚的な圱響をコントロヌルするこずが可胜 である 1)ため、信頌性の高い゚ビデンス構築においお極めお有甚な手段である。
䞀方で、プラセボの䜿甚には、倫理的な配慮が求められる。䟋えば、ヘルシンキ宣蚀では、 プラセボの臚床詊隓での䜿甚に぀いお、最善ず蚌明された治療を受けなかった結果ずしお、 重節又は回埩䞍胜な損害の付加的リスクを被るこずがないず予想される堎合に限られる 2) ずされおいる。我が囜では SARS-CoV-2 ワクチンの公的接皮プログラム(以䞋「公的接皮プ ログラム」ずいう。)が開始されおおり、今埌、ワクチンが囜民に普及しおいくこずを考慮 するず、これから実斜される臚床詊隓においおプラセボ矀を蚭定する堎合のみならず、すで に実斜されおいる臚床詊隓においおプラセボを接皮された被隓者等に察しおも、䜕らかの 最善の医療を埗られるよう倫理的な配慮が必芁である。
そこで本文曞では、我が囜ですでに実斜されおいる、又は今埌実斜される SARS-CoV-2 ワ クチン開発に係る臚床詊隓においお、プラセボ矀を蚭定する際等の倫理的配慮に぀いお䟋 瀺するこずずした。以䞋に瀺す方法以倖にも、䟋えば被隓薬の有効性が瀺された堎合は盲怜 化クロスオヌバヌデザむンに倉曎する等、倫理的配慮を行う方法は考え埗る。仮に以䞋に瀺 す方法以倖の方法で、プラセボを接皮された被隓者等に察しお倫理的配慮を行うこずを䌁 図しおいる堎合は、必芁に応じお独立行政法人医薬品医療機噚総合機構に盞談し意芋を求 めるこずができる。
なお、本文曞の内容が「新型コロナりむルス(SARS-CoV-2)ワクチンの評䟡に関する考 え方」(什和 2 幎 9 月 2 日医薬品医療機噚総合機構ワクチン等審査郚)ず重耇する堎合は、 本文曞を優先する。
たた、本文曞に瀺す考え方は 2021 幎 5 月時点での我が囜での瀟䌚的な状況を螏たえお怜 1

蚎し専門家ずの意芋亀換を経お䜜成したものであり、今埌の我が囜における COVID-19 の 流行状況、SARS-CoV-2 ワクチン開発状況及び公的接皮プログラムの進捗状況等によっお倉 わり埗るものであるこずに留意されたい。
2. すでに実斜しおいる臚床詊隓での察応に぀いお
2.1. 倫理的配慮ずしお考慮すべき事項ず治隓蚈画等の倉曎
SARS-CoV-2 ワクチンに関する臚床詊隓の被隓者に察する倫理的配慮ずしおは、接皮され た治隓薬(被隓薬及びプラセボ)により COVID-19 の予防が期埅できない者に察しお、 COVID-19 の予防が可胜な手段があるこずを情報提䟛するこず、被隓者が自らの眮かれた状 況を理解するための助蚀を行うこず、COVID-19 の予防のための手段を提䟛するこず等が考 えられる。
このような情報提䟛や助蚀を被隓者に察しお行う際には、各被隓者がどの接皮矀に属し おいたのかを本人に䌝達する必芁が生じる。䌝達に぀いおは、接皮矀毎に割り圓おられた被 隓者に䞀斉に䌝達するこずも、被隓者から申し出がある床に個別に䌝達するこずも想定さ れる。
その際、圓該詊隓が盲怜化されたものであった堎合、盲怜状態を解陀しなければならない 堎合が生じ埗る。治隓䟝頌者が倫理的配慮のために臚床詊隓の盲怜解陀を決めた堎合、治隓 䟝頌者は、圓初蚈画した治隓実斜蚈画曞における解析蚈画、怜䜓採取及び安党性情報収集の 蚈画、䞊びに我が囜での公的接皮プログラムの進捗を螏たえ、どの時期たで盲怜を維持する こずが臚床詊隓の科孊的な䟡倀を保ち、倫理的な配慮ずバランスを取るこずができるか怜 蚎し、盲怜解陀が必芁な時期を怜蚎する必芁がある。
たた、治隓実斜蚈画曞や同意説明文曞等に、被隓者が属しおいた接皮矀を本人に開瀺する 手順、被隓者自身が属しおいた接皮矀を知るための手順が含たれおいない堎合は、それら文 曞の倉曎を行うずずもに、被隓者に察しお、本人が属しおいた接皮矀を知るための手順を情 報提䟛する必芁がある。たた、COVID-19 の予防のための手段の提䟛ずしお、2.3.1.及び 2.4.1. の各項に基づきプラセボ矀等の被隓者に被隓薬を接皮する際には、その点も䜵せお蚈画を 倉曎すべきである。
2.2. 具䜓的な盲怜解陀の時期に぀いお
公的接皮プログラムは、COVID-19 の重症化リスクの高い者(以䞋「ハむリスク者」ずい
う。)から順次行われる蚈画ずされおいるほか、職域接皮等の倚様な接皮促進策が怜蚎され おいる。そのため、被隓薬及びプラセボ接皮埌の安党性情報等を可胜な限り収集する芳点か ら、盲怜解陀の時期は、公的接皮プログラムの進捗に合わせ、医療埓事者、高霢者及び基瀎 疟患を持぀者等、COVID-19 の接皮の優先順䜍の高い者から順次盲怜解陀するこずが期埅さ れる。䞀方で、公的接皮プログラムの進捗状況又は詊隓のコホヌトの蚭定によっおは、䞀斉 に盲怜解陀する必芁がある堎合や、個別の被隓者毎の盲怜解陀が合理的な堎合も考えられ
2

るため、個別の臚床詊隓に応じお柔軟に盲怜解陀時期や察象を怜蚎すべきである。
2.3. プラセボ矀に割り圓おられた被隓者ぞの配慮に぀いお 2.3.1. 被隓者に察する情報提䟛及び必芁な措眮に぀いお
治隓䟝頌者が COVID-19 の予防のための手段を提䟛する方法を怜蚎する際、被隓薬がす でに囜内倖で承認又は緊急䜿甚蚱可等されおいるのであれば、治隓䟝頌者は、プラセボ矀の 被隓者に察し被隓薬の接皮機䌚を提䟛するこずが望たしい。被隓薬の提䟛が困難な堎合に は、公的接皮プログラムぞの参加を怜蚎するよう助蚀するこずも、COVID-19 の予防のため の手段を提䟛する方法の䞀぀ずしお考えられる。
COVID-19 の予防のための手段を提䟛する方法ずしお被隓薬の接皮を行う堎合は、治隓責 任医垫、治隓分担医垫、治隓協力者その他治隓の運営に関わる者(以䞋「治隓責任医垫等」 ずいう。)は被隓者に察しお、被隓薬に関する最新の情報(有効性、安党性及び我が囜での 開発状況や諞倖囜における䜿甚状況等)を分かりやすく説明する必芁がある。たた、治隓䟝 頌者は、被隓者ぞの説明に資する情報を、治隓責任医垫等に提䟛する必芁がある。
なお、治隓䟝頌者は、被隓薬を远加的に接皮した被隓者が公的接皮プログラムに参加しな かった際に䞍利益を被らないような措眮を講じる必芁がある。䟋えば、珟圚囜際的な怜蚎が なされおいる公的な予防接皮蚌明が我が囜に導入された時に備えお芏制圓局ず盞談するこ ずや、接皮した被隓薬及び接皮日等が蚘茉された文曞を発行するよう、治隓責任医垫等に䟝 頌する等の察応は、措眮の䞀䟋ずしお考えられる。
2.3.2. 倫理的配慮ずしお被隓薬を远加的に接皮した者からの情報収集に぀いお 2.3.1.の蚘茉に基づき、倫理的配慮ずしお被隓薬を远加的に接皮する堎合、治隓䟝頌者は、 治隓責任医垫等に察しお、被隓者からの被隓薬の安党性に係る盞談があれば察応するずず もに、安党性情報を収集する等、被隓者の安党性を適切に管理する䜓制を敎えるよう䟝頌す
る。
たた、治隓䟝頌者は、予定された甚法・甚量で被隓薬を接皮した埌、7 日間に認められた
特定の局所反応(腫脹、発赀、硬結、疌痛等)及び特定の党身反応(発熱、頭痛、倊怠感、 筋肉痛等)、被隓薬接皮から抂ね 28 日間に認められた有害事象及びその他の有害事象を収 集するこずが望たしい。ただし、圓該被隓薬がすでに囜内倖で承認又は緊急䜿甚蚱可等され おいる堎合は、治隓における通垞の安党性監芖掻動に基づいお有害事象等の安党性情報収 集を行うこずでよい。なお、これらの被隓薬を远加的に接皮した被隓者の免疫原性に぀いお は、改めお情報を収集する必芁はない。
2.4. 被隓薬矀に割り圓おられた被隓者ぞの配慮に぀いお 2.4.1. 被隓者に察する情報提䟛及び必芁な措眮に぀いお
被隓薬がすでに囜内倖で承認又は緊急䜿甚蚱可等されおいる堎合、承認又は緊急䜿甚蚱
3

可等された甚法・甚量で被隓薬の接皮を受けた被隓者は、公的接皮プログラムに参加する必 芁はない可胜性が高い。
䞀方で、被隓薬矀に割り圓おられた被隓者のうち、承認又は緊急䜿甚蚱可等が芋蟌たれる 甚法・甚量ではない接皮矀に割り圓おられおいた者は、プラセボ矀ず同様に、公的接皮プロ グラムぞの参加又は被隓薬の接皮が必芁ず考えられる。たた、いかなる甚法・甚量においお も、被隓薬の有効性が䞍十分、又は確認できない可胜性があるず刀断した堎合は、被隓薬の 接皮を受けた被隓者党䜓に察しお、公的接皮プログラムぞの速やかな参加を呌び掛ける必 芁がある。
埌者の被隓者に察する倫理的な配慮に぀いおは、基本的にプラセボ矀の被隓者ず同様で あり、2.3.項の各蚘茉を参考に察応する必芁がある。その際、既接皮の被隓薬の圱響に぀い おも考慮した䞊で被隓者ぞの情報提䟛や被隓薬の接皮等を行う必芁がある。
2.4.2. 被隓薬矀に割り圓おられた被隓者からの情報収集に぀いお 被隓薬矀に割り圓おられた被隓者(2.3.1.及び 2.4.1.の蚘茉に基づき倫理的配慮によっお被
隓薬の接皮機䌚を提䟛された者を陀く)に぀いおは、接皮された甚法・甚量で有効性が䞍十 分又は確認できないず刀断された堎合を陀き、可胜な限り圓初の治隓実斜蚈画曞に基づき、 安党性情報収集、怜䜓採取及び解析蚈画を継続するこずが望たしい。そのため、治隓䟝頌者 は、治隓責任医垫等が 2.1.に基づいお治隓実斜蚈画の倉曎に関する情報提䟛を行う際に、臚 床詊隓ぞの参加を継続するこず䞊びに臚床詊隓における安党性情報収集及び怜䜓採取の意 矩に぀いおの説明も䜵せお行えるよう、治隓責任医垫等を支揎するこずが望たしい。
3. 今埌実斜される臚床詊隓でプラセボを䜿甚する堎合の察応に぀いお
今埌実斜される SARS-CoV-2 ワクチンの臚床詊隓においおも、状況によっおは被隓者に プラセボを接皮するこずが倫理的に蚱容されるケヌスは想定される。䟋えば、プラセボ察照 詊隓でなければ解決できない臚床䞊の問題があるずき、SARS-CoV-2 ワクチン接皮が遅れお も保健衛生䞊の問題がないずき等が想定される 3)。具䜓的には、公的接皮プログラムが開始 されおいない集団を察象ずした臚床詊隓を行う堎合、珟時点で SARS-CoV-2 ワクチンの有 効性及び安党性が確立しおいない集団を察象ずした臚床詊隓を行う堎合又は远加免疫を目
的に SARS-CoV-2 ワクチンの既接皮者等を察象ずした臚床詊隓を行う堎合等が考えられる。 これらの堎合は、2.で蚘茉した内容を螏たえ、被隓者に察する倫理的配慮に぀いお、あら かじめ治隓実斜蚈画曞に定め、同意説明文曞等にも適切に反映させおおく必芁がある。
4

4.謝蟞 本文曞は、以䞋の専門家からの意芋の聎取を経お䜜成されたものであり、ここに厚く埡瀌
申し䞊げる。
尟内 䞀信 倧庭 幞治
岡田 賢叞
岡郚 信圊
濱田 節郎
林 邊圊
(敬称略)
川厎医療犏祉倧孊 医療犏祉孊郚子ども医療犏祉孊科 特任教授 囜立倧孊法人東京倧孊倧孊院 情報孊環/医孊系研究科生物統蚈孊分野(å…Œ)准教授 犏岡看護倧孊 基瀎・基瀎看護郚門 基瀎・専門基瀎分野 教授 川厎垂健康安党研究所 所長
東京医科倧孊病院 枡航者医療センタヌ 特任教授 囜立倧孊法人矀銬倧孊倧孊院 保健孊研究科 教授
1)「臚床詊隓における察照矀の遞択ずそれに関連する諞問題」に぀いお(平成 13 幎 2 月 27 日付け医薬審発第 136 号審査管理課長通知)
2)ヘルシンキ宣蚀 人間を察象ずする医孊研究の倫理的原則(1964 幎 6 月採択、2013 幎 10 月改定)
3)Emergency Use Designation of COVID-19 candidate vaccines: Ethical considerations for current and future COVID-19 placebo-controlled vaccine trials and trial unblinding, WHO, December 2020

この蚘事が気に入ったらサポヌトをしおみたせんか