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ゴーン・ガール

やっぱり「セブン」と同じような後味を残す、これもデヴィッド・フィンチャー監督作品だ。「セブン」の方がグロテスクではあったけれど。

当時、カタカナの邦題を見た時は、カルロス・ゴーンと愛人の話かと一瞬思った私である。ざっくり言って、2時間半引っぱって、あの結末か・・・とちょっとがっかりした。もちろんスッキリする終わり方でないのは現実に近いのかも知れないけれど、エンタメを期待して観ると消化不良になる。制作側はきっとその「モヤモヤ」を残すことを意図していたに違いない。

人に危害を与えたり、犯罪を犯すところまでいかなくても、誰もが持っているサイコな部分というのがあって、そこにこの作品のどこかが共鳴した人も多いだろう。アメリカだからこの脚本が成り立ったという点もあるけれど、「世間の目」が自分の判断基準や行動の拠りどころになってしまっているのは、誰にでも思い当たることだ。そしてそれに気付いてそこから脱却しようとしている人の数が増えているのではないか、と今まさに思う。

ベン・アフレックは自身がセレブではあるが、そういった幻の価値観に縛られることの無意味さを提示するような作品に出ていることが多い気がする。失踪した妻エイミー役のロザムンド・パイクは、とあるトークショーで素の部分を見たらなんだかクセがあるなと感じたが、そんな印象を与えるからこそ、この役に抜擢されたのかも知れない。

2回観ることはないと思うけれど、観たのが時間の無駄だったとも思わないような作品。それにしても、人にはいろんなレイヤー、いろんな顔がある。

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