ドイツ語購読備忘録1


0. はじめに

 私がドイツ語を読んでいて、読解に躓きかけた箇所の備忘録として、記録をつけておこうと思います。同じ間違いをしないために。気分で加筆訂正します。まず文を引用して、多分間違っているであろう最初の解釈と、多分あっているであろう解釈を書いていきます。

1. 引用文

Es ist sehr wohl möglich, daß ein Tagesgedanke die Rolle des Unternehmers für den Traum spielt: aber der Unternehmer, der, wie man sagt, die Idee hat und der Drang, sie in Tat umzusetzen, kann doch ohne Kapital nichts machen; er braucht einen Kapitalisten, der den Aufwand bestreitet, und dieser Kapitalist, der den psycischen Aufwand für den Traum, beistellt, ist alle Male und unweigerlich, was auch immer der Tagesgedanke sein mag, ein Wunsch aus dem Unbewussten. (Studienausgabe 2, 534f.)
(斜体の代用で太字を使用)

Freud, Sigmund. Studienausgabe, 10 Bde., hg. von Alexander Mitscherlich u.a., Frankfurt a.M. 1969-1975.

2. 最初の解釈

 「日常の思考が、夢にとって企業家の役割をすることはまったくもって可能である。しかし、世間でよくいうようにアイデアとそれを実行に移したいという衝動を持っているその企業家は、資本がなければ何もできない。企業家は費用を負担してくれる資本家を必要としており、夢に対して心理的な支出を行うその資本家は、その都度、必然的に、常に日常の思考でもあるかもしれないもの、つまり無意識由来の願望である。」

疑問点1:
この読みだと最後の、無意識由来の願望 (ein Wunsch aus dem Unbewussten) は何かと同格だということになる。何と同格?直前の was 節?

疑問点2:
「日常の思考でもあるかもしれないもの」=無意識
あるいは
「日常の思考であるかもしれないもの」=夢の企業家=夢の資本家
という図式でいいのか?これだと何が言いたいのか全く分からない

3. 修正版の解釈

「日常の思考が、夢にとって企業家の役割をすることはまったくもって可能である。しかし、世間でよくいうようにアイデアとそれを実行に移したいという衝動を持っているその企業家は、資本がなければ何もできない。企業家は費用を負担してくれる資本家を必要としており、夢に対して心理的な支出を行うその資本家は、その都度、必然的に――日常の思考がどんなものであれ――無意識由来の願望である。」

解釈のポイント:
・疑問詞 + auch はいわゆる認容文を表すマーカー。mögen までついているので確定といっていい。
単なる挿入節を名詞節と誤読すると事故る。"wie ich gesagt habe"「私がすでに述べたように」みたいな系列のやつは警戒していたが、認容文はノーマークだった。

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