音楽は人生を変えるか?

 と聞かれて、「はい!」と答える人もいれば、「そんなわけないじゃん!?」と答える人もいると思います。自分はどちらかといえば、そのどちらでもなく、その中間というか、「音楽で人生が少しだけズレていったかな!?」という感じです。

 きっかけと言えるのは、いまから約25年前に発売されたoasisのアルバム「モーニング・グローリー((What's the Story) Morning Glory?)」です。発売当日、自分は渋谷のHMVで夕方、輸入盤のCDを購入して、すぐに開封して、いつも使用していたCDウォークマンで聴きながら、その晩の合コンに向かったのを覚えています。HMVから渋谷の駅に向かっていく途中、「あっ、こりゃスゲーや…」と思いました。音楽を聴いてこんな感覚が起きたのはこのときだけです。当時はインターネットは黎明期で、そもそも自分は当時インターネットなる単語を聞いたことはありませんでした。なので、音楽情報といえば、雑誌を通じて得るのが一般的だったと思います。友人に教えてもらって、ロッキンオンを購読していました。ロッキンオンは色んな新しいバンドを毎月紹介していますが、今月のアルバムみたいな紹介のコーナーでこのモーニンググローリーが紹介されており、要約すると「こりゃスゲーや!」という感じで書かれていたと思います。ただ、こういった紹介は様々な作品で時々あるため、CD購入前は正直「本当かなぁぁ」と思っていました。ですが、今回ばかりは、本当に「あっ、こりゃスゲーや…」となったわけです。

 その後、このアルバムは30枚ぐらい買ったような気がします。今だとダウンロードで曲を聞くので、ピンと来ないかもしれないですが、当時はCD全盛期だったので、知り合い等によく買って配ったものでした。それぐらい素晴らしい作品でした。そして、最近改めて聴いてみて、やっぱり素晴らしいアルバムだと思います。とにかく初めから終わりまで聴くことで、その価値が分かるような作品だと思います。個々の楽曲については特に触れないですが、今の時代のように1曲ごとにダウンロードが可能になってしまうとアルバム全体を通じて一つの作品であることを感じることが薄くなっているような気がするのは自分だけでしょうか!?それはそれで時代時代の音楽の在りようが有るので、良い悪いの問題ではないと思いますが、少なくとも音楽と人との関係性が変わったのかなとも思ったりもします。

 大学生活が終わりを迎える頃、素直に就職する気になれなかった自分は、海外に一人でふらふら行こうと思った時、その行き先はイギリスでした。やはりoasisを自分の目で見てみたいという思いがあったからです。もちろん、モーニンググローリーを聴いて、それがゆえに就職せずイギリスに行こうと思ったわけではありませんので、「音楽で人生が変わった」とは思いませんが、当時の自分の将来への何の考えもなかったこととか、自分のコンプレックスとか、海外への憧れとか、海外旅行にハマっていたこととか、若さゆえに向こう見ずでいられたこととか、そんなモロモロが混ざり合う中で、モーニンググローリーと出会い、イギリスに行こうと決めたのは間違いなかったといえます。なので、「音楽で人生が少しだけズレていったかな!?」というのは間違いのないとこだと思えます。

 そして、ズレていった結果、その後の人生がどうだったかは実際良くわかりません(当然ですがズレなかった人生を経験することができなかったので…)。ただ、イギリスに入国後、2時間後には暴漢に襲われてパスポートと小銭入れを奪われたのは今となっては懐かしい思い出ですし、日本の外に出て色んな感覚を味わえたのは自分の今のベースにあるといえるので、ズレたなりの人生はそんなに悪くないのかなと思えています。

 (ということで、本日はこの辺で。)

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