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第1話part7

 姿を変えた少女たちが光の中から出てくるのを、ポムはレザンの腕の中で放心したように見つめていた。
 彼女の頭には、王国の祭壇で見た、5人の戦士の彫刻の記憶が色濃く焼き付いていた。その中の2人が、今目の前に居る。ポムは思わず叫んだ。

「あの子達が、プリキュア!!」

 声を張り上げたポムを見て、レザンも確信する。いつもの様子に似合わぬ興奮した声音でグッと拳を握った。
「ようやく見つけた! 君達が選ばれし伝説の戦士だったんだ!」

 その光景を唖然として見つめていたソンブルは、レザンの声に我にかえった。慌ててスキホーダイの体勢を立て直すと、プリキュアに向かって指を指す。
「くっ、いくら伝説の戦士でも、人間、しかもたった二人ならどうってことはねぇ。行け! スキホーダイ! こいつらもまとめて捕らえろ!」
「そうはさせない!」
 キュアフルールとなったまつりは、怒りをたたえた瞳でソンブルを睨み返す。そして、そのまま隣にいる仲間と目を合わせ、小さくはにかんだ。
「まだよく分からないけど、この姿なら、皆を助けられそうな気がするね!」
 ゆらら──キュアラメールも、普段の様子に似合わず自信に満ちた笑顔で答える。
「えぇ、何だか力が湧いてくるみたい……!!」

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『プリキュア・フローラルアタック!』
『プリキュア・ジュエリーウェーブ!』

 ヒラヒラと宙を舞う桜を、輝く波がさらっていく。幻のような光を、そこにいる誰もが呆然と見つめていた。
 信じられないものを見る表情でそれに見いっているソンブルに、レザンは口の裏で小さく問いかける。

あの時に、とても良く似ているね。

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 フルールとラメールの放った攻撃は、美しく交わりスキホーダイに直撃した。魔法の波に呑まれて消えていく最後、その化け物の瞳にあたたかい光が宿ったような気がして、ソンブルは思わず目を擦った。そして、再び見たときには、スキホーダイの姿は跡形も無く消え失せていた。

「スキホーダイがこんなに簡単に浄化されるなんて……! いや、今日は不意打ちだったから仕方なかったんだ! 次は覚えてろよっ、プリキュア!」

 ソンブルは舌打ちをすると、指をパチッと鳴らす。そのまま、フッと空気に溶け込んで消えてしまった。