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第4話Part16

 りんねの笑顔を見て、まりあは不意にその頬に手を伸ばしかける。だが、ちょうどその時、バタバタと慌ただしげな足音が響き、まつり達を案内してくれたメイド姿の女性が姿を現した。

「お嬢様! 皆様! お部屋の窓ガラスが割れておりましたが、ご無事ですか!」
「ええ、大丈夫よ。皆無事です」
「それならば良かったです」

 毅然としたまりあの答えに、女性はほっと胸を撫で下ろす。そして、周りにモーヴェの姿がないことに気がつくと、不思議そうに首を傾げた。

「ところで、モーヴェ様は……?」
「お姉様なら、先程お帰りになられましたよ。急な用事を思い出したそうで」
「そうだったのですか。承知いたしました」

 女性は安心したように頷いた。上手く取り繕えたと、まつりが内心汗をかいていると、まりあが何かを思い出したように「そうだ」と口を開いた。

「桜宮さん達にいくつかお聞きしたいことがあるのだけど、良いかしら?」
「はい、なんでしょうか!」
「あなた達が変身した、プリキュアというものは一体何なのですか? それから、和泉くんとそちらの喋るぬいぐるみさんは、何者なの?」
「ぽっ……」
「え"……先輩……それは……」

 瞬時にその場の時が止まった。思わず声を出しそうになったポムに、青ざめたまま固まるまつり。レザンはまりあに気づかれないように必死で首を横に振っていた。しかし、そんな彼らの様子に追い打ちをかけるかのように、今度は女性の口から純粋な質問が続いた。

「お嬢様? 『プリキュア』とは何ですか?」