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第5話 『これがわたくしの答え! 5人目のプリキュアは美しき太陽』Part1

 夕闇邸での戦いから一夜明け、生徒会室には麗らかな午後の日差しが降りそそいでいた。円形テーブルの一席で、まりあは真実を伝えに来た『プリキュア』の面々を見渡し、そっと息を吐いた。

「事情は理解しました。あなた達、今まで本当に大変な事を成し遂げてきたのね」
「えへへ、それほどでも~!」

 まつりは、重たい空気を打破しようと声を浮つかせてみたが、いつもなら笑ってくれるであろう皆に何一つ変化は無い。諦めて俯くと、恐る恐る本題を切り出した。

「……でも、どうしてまりあ先輩だけプリキュアになれなかったんだろう」
「やはり、わたくしの力が及ばなかったから……」

 悔しげに胸元で手を握りしめ、まりあは絞り出すようにそう言った。しかし、ゆららは毅然として首を振る。まりあがエスポワールパクトを掴んだ時、眩い光は確かに彼女を導いていた。

「いえ、それは無いと思います。あの時、エスポワールパクトは確かにまりあ先輩に対して反応していた。先輩は間違いなく、5人目のプリキュアになるべき人です」
「そう、かしら。だと良いのだけど」

 はっきりと述べたゆららを見て、まりあの顔が少しだけ綻ぶ。そして、心配そうに眉を寄せた。

「……あのね、わたくし、パクトに触れたあの一瞬の間に、大きなお屋敷が燃えている光景が見えたの。それから、遠くから男の子の泣き声も聞こえてきた」

 まるで過去の記憶がフラッシュバックするかのように見えたあの出来事。屋敷は夕闇邸のそれとよく似ていたけれど、まりあの記憶ではない。別の誰か──別世界の誰かの記憶が無理やり共有されたような、そんな奇妙な感覚が体を走った。
 そう彼女が零すと、あすなとりんねがハッとしたように顔を見合わせる。

「あの時って……確か、エスポワールパクトは王子先輩が持っていましたよね」
「もしかして、その男の子って……」
「レザン……?」

 まつりの口から、不安げな声が漏れる。それはきっと、今ここには居ない、彼の記憶。