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第1話part6

 淡い光。それは、2人の少女の胸元と、エスポワールパクトから溢れているものだった。白く輝く光を発するエスポワールパクトを目にし、ポムは驚いて瞬きをした。

「……え、エスポワールパクトの光が反応してるポム! あれは、正義の心に宿る、レーヴジェムの輝き……」
「嘘だろ!? まさか、本当に『プリキュア』が……」

 ソンブルの灰色の瞳が、光に照らされて銀に染まり、不安定に揺れている。動ける範囲でなるべく体に圧力がかからない体勢を取っていたレザンは、動揺する彼に合わせて怪物の『手』の強さが緩んでいく事に気がついた。
「力が緩んだ……今の隙に……よし、脱出成功!」
 今度こそは、一瞬を逃さない。レザンは『手』の内側の一点に強い力をかけると、包囲を破って、ひらりと『手』の外側に飛び降りた。
「あっ、くそっ、やりやがったな!」
 不意を突かれて悔しそうに唇を噛み締めるソンブルの顔は、最後に会った時とさほど変わらないように見えた。痛む体を隠すように、レザンは一度だけ彼を振り替えって微笑んで見せる。そして、すぐに前を向くと、少女達に呼び掛けた。

「二人とも、エスポワールパクトを手に取って、頭に浮かんだ言葉を叫ぶんだ! 早く!」
 声を聞いた2人は、もう戸惑う様子は見せていなかった。本能的に感じているのか、力に操られているのか。どちらにせよ、2人はもう逃げない。レザンは確信していた。彼女達は、きっと……

「分かったわ!」
「とにかく、やってみる!」

 少女達が頷くと、桃色の光と水色の光が新たに現れ、それぞれの体を取り囲んでいった。

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「プリキュア! エスポワールフラワーマジック!」
『プリキュア! エスポワールマリンマジック!』

 気づけば辺り一面桃色の光の中。頭の中に浮かんだ台詞を、まつりは訳がわからないままに呟いた。これは一体なんだろう? 私はどうなるの?疑問で頭が溢れかえりそう。

でも、遠くからちゃんとゆらちゃんの声が聞こえる。私はひとりじゃない。
私は、あの子達を、皆を助けられる。助けたいよ。助けに行くんだ!

迷い無くそう言った、自分の心を信じよう。
まつりは、濃い桃色に染まった髪を揺らしながら、地面に降り立つ。

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「満開の花、満天の笑顔! キュアフルール!」
「たゆたう波は知性の宝石! キュアラメール!」
 まつりが地に足をつけるのとほぼ同時に、水色の髪のゆららが隣に降り立った。
「希望と平和をこの胸に! 羽ばたけ、エスポワール🌟プリキュア!」

声を揃えて、さぁ、始めよう。