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第4話Part3

 だが、まつりとゆららの注意は、その時りんねにのみ注がれていた。二つの言葉を受けたりんねは、泣きそうな、しかし嬉しそうな顔で友人たちを見つめた。

「まつりちゃん、レザンくん……」
「この2人がこう言ったら、もう何を言っても聞かないのは分かってるわ。大丈夫、私達もついてるから。行ってみましょ」
「うん、そうだね。皆ありがとう。私、頑張って伝えてみるよ」

 念をかけるように発したゆららの一言が最後の後押しとなり、りんねは胸元でぎゅっと拳を握ってそう言い切った。すると、レザンが机に置いたカバンの中から、ぴょこっとポムが飛び出す。どうやら、皆が仲良さそうに話しているのを聞いて、混ざりたくなったらしい。

「ポムもいるポム~」
「ふふ、ポムちゃんもありがとう」
「でも、このメンツだとあすなちゃんも連れていった方がいいかもね。『あすなだけ仲間はずれですか!』って怒られちゃいそうだし!」
「あすなの真似、似てないポム~」

 騒がしい後輩を大仰に真似てみたが、貰った反応はポムからのクレームだけだった。まつりはサッと顔を赤らめると、ポムを鞄の中に押し返そうとする。

「う、うるさいなぁ! ポムは隠れててっていっつも言って…!」

 その声は、一瞬だけ静かになった教室に運悪く日々に渡った。何事かと視線を転じたクラスメイトが見たのは、ただの鞄に向かって話しかけるまつりの姿。

「何々、どうしたの?」
「また桜宮かよ。いつも騒がしいな~!」

 不可解な行動も、桜宮まつりのした事ならば当然だ。からかいを含むような、けれどさっぱりとした笑い声が教室内に響いていく。それに紛れて、鞄の中からも小さく吹き出す声を聞いたまつりは、恥ずかしさと不服さで手をバタバタと動かしながらゆららに助けを求めた。

「むむむ……ゆらちゃ~ん!」
「あんたが一人で騒いでるのが悪いんじゃない」
「ひ、ひどーい!」

 自業自得よ、とあえなく振られてしまった。そのコントのようなやり取りに、クラスメイト達は一層笑いこけたのだった。