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第6話Part19

 不思議な時間だった。そう思いながら、みづきはあすなに向き直る。

「私には、あなたが何をしていたのか分からないわ。でも、その顔を見るに、良い結果になったみたいね」
「みづきちゃん……! 大好き!」

突如強い衝撃と重さを体に感じ、リーラは僅かによろめく。そして、体勢を立て直した後、実に可笑しそうに彼女を受け止めたのだった。

「ちょっと、急に抱きつくのはやめなさいよ。服に皺ができちゃうじゃない。……ふふ、仕方ない子ね」

最後の言葉は、あすなに、と言うよりは、自分自身に向けたものだったのかもしれない。夜空に煌めき出した一等星を見つめながら、みづきは大きく空を仰ぐ。

(あーあ、このまま帰ったら、私すごく怒られちゃうわ。でも、全然嫌な気分じゃない。この気持ちは、一体何なのかしらね)