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第4話Part14
まりあの体を光が包み込み、別世界へと誘われる、その瞬間。
『ねぇ、本当にあの子のために戦うの?』
決別したはずのモーヴェの声が、嫌に優しく響いた。
「お姉……様?」
『心配して踏み込んだら、はぐらかしてくるような子よ?あなたの事、本心では迷惑に思っているんじゃないの?』
「違う……りんねもわたくしと、きっと同じ気持ちで……!」
モーヴェの声を遮るように、まりあは必死でそう言った。モーヴェに向かって、と言うよりは、まるで自分自身に言い聞かせているようだった。
『でも、本当の友達なら、嫌われているかもなんて不安に思う事は無いはずでしょ?きっと、あなたは友達だと思っていても、あの子にとってはそうじゃないのよ』
「わたくしは……それでもわたくしが望むのは……」
感情が強く揺さぶられる。それに比例するように、まりあの手にあったエスポワールパクトから、徐々に光が失われていった。その様子を唖然とした顔で見ていたレザンは、我に返ると、まりあに向かって手を伸ばした。
「まりあさんの心が揺れている? レーヴジェムの輝きは、揺らぐことない信念の元に作られるはずなのに。まりあさん、耐えてくれ……!」
まりあに触れる。太陽の熱に、炎の強さに、触れる。刹那、龍が舞うように炎が広がってゆく情景が、頭の中にフラッシュバックした。
「あっ……!」
遠い遠い日の記憶。全てを失った日の事が、五人目の力に共鳴して蘇る。
『なのになんで、 なんでお前だけが生きてるんだよ』
恨みと嫌悪の篭った声に、レザンは思わず手を振り払った。同時に、エスポワールパクトからの光も、完全に消えてしまう。
「うっ……変身が……失敗した?」
「こんな事、今までは無かったポム!」
「わたくしは、変身出来なかった……?」
パクトを抱えたまま、まりあは俯いて唇を噛み締める。変身の兆しがないと確信したモーヴェは、口に手を添えて高らかに笑った。
「あはははは! やっぱりあなた達は友達なんかじゃないわ!」