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第4話Part23

 その事に気がついたのか、扉が閉まると、ヴィナグラードは玉座を立ち、ポムの目の前に膝立ちになった。国王ともあろうお方が、ポムのような少女に対して膝をつくことは有り得ない。ポムが驚きのあまり何も言えずにいると、ヴィナグラードはそっとポムの小さな手を取った。

「はぁ……レザンの言うことは正しいよ。汚れてしまったのは私たち大人の方だ。あぁ、あの忌々しい襲撃さえなければ……!」

 唇をかみ締め、ヴィナグラードは悔しそうに呟く。そして、ポムを見て悲しげに微笑んむと、ポムの手をぎゅっと握りしめた。

「ポム、どうか、あの子を支えてやってくれ」

 国王は、そう言って、長い間涙を流していた。

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「ポムは知ってるポム。王国の中に、本当に悪い人は一人もいなかったポム。全てはあの襲撃のせい。全部全部、カプリシューズのせいポム」

 階段を降りながら、一言ずつはっきりとそう口にする。やがて、最後の一段を降りると、ポムは憎しみに燃える目でキッと前を見つめ、涙に滲む声で叫んだ。

「ポムは、カプリシューズを絶対に許さない!」