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第3話Part27

 路地裏へと消えた少女──リーラは、そこで待っていたシャグラン、ラージュの二人と合流すると、列になって歩き始めた。リーラからの報告を聞いたシャグランは、驚いたように目を丸くする。

「何と、リーラはプリキュアの一人と接触に成功したのか?」
「ええ。私と年が近そうな子がいたから、その子が一人になったところを狙ってね」
「よくやった。貴殿ならば、プリキュアと同世代であるし、近づいても警戒されないだろう。これからは我らの任務も代行できるよう、主に頼んでおこう」

 シャグランの言葉に、リーラは勢いよく飛びついた。

「本当!? これで沢山お外に出られるわ!」

 心底嬉しそうにスキップをするリーラ。しかし、その隣で気だるそうな顔をしたラージュが肩を竦めて彼女を止めた。

️「でもあんたさ、あの王子に顔パス効くっしょ? あいつが居るとこに行くの、マジ詰んでね?」
「ならば、彼には我が接触しよう。リーラは先程話しかけた者をマークすれば良い。ラージュは中等部2年の淑女達と関わってくれ」

 ラージュの意見も最もだ。シャグランは、リーラが不機嫌にならないようにフォローしながらも、ラージュの言葉に賛同した。ラージュは、シャグランからの提案に、ニカッと笑って敬礼のサインをすると、よく回る舌を更に加速させる。

️「りょ~! meの実力ならちょー楽勝。アリよりのアリっしょ。秒でぱーっとBFFになって情報収集ガチるわ」
「ああ、ラージュは頼もしいな」

 リーラにはさっぱり意味が分からなかったが、シャグランはラージュの言葉をすぐに理解出来たらしい。言い換えると、ラージュの作戦は、正体を隠してプリキュアと親しくなり、まず弱みを握る。そして、彼女たちが自分達を信用しきった所で正体を明かし裏切る、という工程であった。
 その作戦には納得しつつも、リーラは訝しげに首を傾げた。

「た、頼もしいの……?」
「え、何その反応! ガチしょんぼり沈殿丸的な~!!」

 心外とばかりに口を開いたラージュからは、また意味不明な言葉が降ってくる。リーラは顔を顰めて口元に手を当てた。

「本当に大丈夫かしら……」