見出し画像

第4話Part13

「ヴェール! 危ない!」
「え? ……きゃあああ! 」

 レザンの叫びも虚しく、モーヴェの放った攻撃は、ヴェールの背中に激突した。動けるようになったまりあとは対照的に、地面に倒れ込んだヴェールを、まりあは慌てて抱き起こす。
 スキホーダイが消えた位置に留まっていたフルール達三人は、青ざめた顔でヴェールの所に向かって走り出した。

「ヴェール!」
「どうしましょう! スキホーダイに気を取られて、モーヴェを見失っていました!」
「この位置からじゃ、私たちは間に合わない! 一体どうすれば……」

モーヴェは早くも次の攻撃を繰り出そうとしている。レザンが阻止してくれれば良いが、いつまで持ちこたえられるかは時間の問題だろう。
 一人何も知らないまりあは、モーヴェやプリキュアたちの事は目にも入らず、ただひたすらに、自分を助けてくれた少女を見つめていた。

「だ、大丈夫ですの!? しっかり……!」
「まりあさん……怪我は無い?」

 少女は、自身が倒れ込んでいると言うのに、まだまりあの心配をしてくれているようだった。その優しい心と、名前を呼ぶ声には、ひとつ、心当たりがあった。震える声で、まりあは呟いた。

「あなた……もしかして、りんね?」
「うん、私、まりあさんを守りたくて……」
「そんな! りんね、りんね!」

 少女が弱々しく呟くと同時に、彼女の体を光が包み込み、制服姿のりんねが姿を現した。変身が解けてしまったのだ。良く見知ったその顔に、まりあは息を呑む。こちらに向かって攻撃を仕掛けようとしているモーヴェを、信じられないという顔で見つめた。

「お姉様、これは一体どういう事ですの!?」
「あら、怖い顔しないで、まりあ。その子たちはあたし達の敵なの。だから、あなたから守ってあげてる。それだけの事よ」

 表情を変えずに、微笑んだまま淡々と言葉を並べるモーヴェ。まりあの中で、何かが弾け飛ぶ音がした。

「うそ……りんねは、わたくしの、わたくしの大切な友達なのに……!」

 その時。ポムが抱えていた残りのエスポワールパクトが、強い光を放った。その光は、モーヴェの攻撃よりも一段と赤い、太陽のように強い輝き。

「5つ目のエスポワールパクトが反応してるポム!」
「まりあさん! このパクトを手に取って! りんねちゃんを救うんだ!」
「わたくしに、出来る事なら……! 」

 レザンから受け取ったパクトを空に掲げ、まりあは思い切り叫んだ。

「プリキュア! エスポワールサニーマジック!」