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第6話Part9

「わ! 先輩、急に引っ張らないでください! ごめんまつり、また後でね! 」
「う、うん。またね」

追加で言葉をかけるまもなく、レザンはほむらによって教室から姿を消した。後に一人残されたまつりは、しんとした部屋の中、氷のように冷たい机に突っ伏した。

「友達……友達、かぁ。友達って言われて、嬉しいはずなのに、何でこんなに胸が苦しいんだろう」

自分の本当の心が、分かるようで分からない。胸のざわめきと薄氷を踏むような感覚に、まつりは思わずぎゅっと目を閉じたのだった。

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ほむらことラージュは、陽気に敵の手を引きながら、まるで嘲笑うかのようにメモリの奥にデータを焼きつけた。

️(コイツらおもしれ~。人間の感情って、me達作り物とは全然違うな。見てて飽きないんですけど~! でも、この二人は引き離さなきゃね。オウジサマには何も知らせないでおくのがルールってワケ)

表舞台でプリキュア達と戦うのは片割れに任せることにして、自分はもう暫く、人の心が揺れ動くさまを愉快に堪能していよう。そう脳媒体に記録しながら、彼女はにんまりと口の端をあげた。