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第6話Part14

「そいつが全ての元凶ってわけね」

フルールに同調するように、ラメールもシャグランを見据えてそう口にした。

「はぁ、我が主のことを気安く呼ぶな。愚者達よ」
【ワタシ フッカツ カラノ、スキホーダイ パーンチ!】

シャグランが煩わしそうに指を振ると、伸びていたスキホーダイが瞬時に立ち上がる。反射的に誰よりも早く反応したヴェールは、咄嗟に前へと躍り出た。

「皆、危ない! プリキュア・ヒーリングドーム! 」
「ヴェール、助かったわ。ありがとう」

ヴェールの出した盾の中、一同はほっとしたように息を吐いたが、その後すぐに、自らの身に起きた小さな異変に気づき始めた。

「どういうこと? 穏やかで、隙がありそうに見えるのに、彼が話している間一度も攻撃ができなかった……」
「きっと彼の言葉には、私たちを引きつける不思議な力があるんだわ。惑わされないように、スキホーダイを倒すことだけを考えましょう」

今度の敵は、ソンブルやモーヴェほど分かりやすい性格では無いようだ。おまけに、人を惑わす力も持っているらしい。気を引き締めようと言わんばかりに、フルールは自身の頬にぱちんと手を当てると、足を踏み込んで一気に走り出した。

「そうだね。ルシエルの分まで頑張らなきゃ! プリキュア・フローラルアタック! 」
【オハナ! クルクルシテルヨ~!】
「休まず行くわよ! プリキュア・ジュエリーウェーブ!」
【ホウセキ、ウツクシイネ~グフッ】

続くラメールの攻撃を受けると、スキホーダイは呆気なくその場に崩れ落ちた。先程ダメージを受けた時とは違い、ぴくりとも動かない様子を見て、二人は呆気に取られたように顔を見合わせる。

「あれ、もう倒せちゃったの?」
「なんだか、妙に手応えが無いわね」

果たして、このまま喜んでも良いのか。異常な違和感に首を傾げる二人を、シャグランは怪しげな笑みを浮かべながら見つめていた。

「ふっ、第一段階はクリアということか。大方予想通りだな。では、次はレベルを上げてみようか」

そう言って、シャグランは優雅に指を鳴らす。すると──

【ワタシ、レベルアップ シタヨー!!】

倒れていたはずのスキホーダイは、一回り大きくなった姿で復活し、再びプリキュアたちの前に立ちはだかったのだった。