見出し画像

第6話Part11

【スキホーダイ! 】

「きゃあ! 何あれ!」

大地を揺るがす振動と共に現れたのは、光る目と闇の身体を持った怪物。身構えるまりあ達とは対照的に、みづきは怯えたようにその場に座り込んでしまった。

「あれは、スキホーダイ……! あすな、りんね、気をつけて、カプリシューズがどこかに潜んでいますわ」
「急いで変身しましょう。みづきさん。少しだけここで待っていてくれる? 必ず戻るわ」

みづきをその場に残し、慌てて駆けていこうとする二人。しかし、場の状況が全く理解出来ていないであろうみづきは、彼女たちを必死な声で呼び止める。

「嫌! 置いていかないで! あんな化け物が近くにいるのに、一人にしないでよ!」
「……!」
「そう、ですわね。放っておけませんわ」

スキホーダイを倒すことがプリキュアの使命。だが、優しい彼女達には、目の前で恐怖に震えている人間を置いていく選択肢は無かった。みづき──リーラは、その優しさを利用して漬け込んだ。

(ふふ、動揺してる。何も知らない私の前で変身は出来ないし、無防備な私を置いていくことも出来ない。いい足止めになったわ)

時間稼ぎをしている間に、きっとスキホーダイは街を破壊し尽くす。そうして生み出された絶望の種が、リーラたちをまたひとつ幸せへと近づける。
 完璧な計画の遂行を思い、密かにほくそ笑むリーラ。しかし次の瞬間、あすなの思いもよらぬ一言が彼女の計画をなし崩しにした。

「りんね先輩、まりあ先輩、大丈夫です、行ってください!」

驚いて顔をあげたリーラの視界には、あすなの太陽のように明るい笑顔が映ったのだった。