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第4話Part11

「たぁーっ!」
【アウ】
「はぁっ!」
【グフッ】

 ルシエルとラメールの攻撃が、スキホーダイに直撃する。だが、二人の表情は、いつもの迷いの無い顔とはうって変わって、曇り空のような曖昧な感情を滲ませていた。と言うのも、スキホーダイの腕には依然として気を失ったまりあが抱えられており、いつものように容赦なく攻撃をすると、まりあまで傷つけてしまう恐れがあったのだ。

「やぁあああっ!」
【アウチ!イタ……イタクナイ~!!】

 プリキュアの攻撃がいつもより一段と弱いことに気がついたスキホーダイは、調子にのって嬉しそうに飛び跳ねた。

「まりあ先輩がいるから、力強い攻撃ができないよ!」
【グヘヘ、イマダー!!!】
「わぁあ!」

 形勢逆転、とでも言いたげに、スキホーダイが迫ってくる。やってくる衝撃に備えて思わず目を瞑ったフルールの前に、緑色の髪がなびいた。

「プリキュア! ヒーリングドーム! 」

 ヴェールの声とともに、薄緑のシールドが、プリキュア達を包み込む。攻撃を一切通さない盾の出現に、スキホーダイは悔しげに地団駄を踏んだ。

「皆、大丈夫!?」
「ありがとう、ヴェール!」

 ヴェールは、フルールに向かって一瞬だけ嬉しそうに頷くと、すぐに真面目な表情に戻った。

「私の力で一時的に守ることは出来るけれど、それにも限界があるわ。どうにかして、まりあさんを引き離せないかしら」
「そうだ! ねぇヴェール、私たちがスキホーダイとモーヴェの気を逸らすから、その隙にまりあ先輩を救い出せないかしら?」

 ラメールの素早い提案に、ルシエルも納得の表情で首を縦に振る。

「確かに……前と違って、今回は大きなスキホーダイが一体だけ。これだけ人数が多ければ、上手くいくかもしれません」
「わかった。やってみるわ」

 ヴェールが合図を出し、それに合わせて三人はシールドを抜けた。その瞬間、ヴェールを覆っていたシールドがパキッと音を立てて崩れ始める。モーヴェは、脆く壊れゆく力を、ヴェールの頭上から嘲笑うように見ていた。

「うふふ、シールドにもすぐにビビが入ってるじゃない。4人目のプリキュアも、大したことないわね。行きなさい、スキホーダイちゃん!」
【ヨロシクテヨ!】

 虎の威を借る狐のように、俄然やる気になったスキホーダイが、武器を無くしたヴェールに襲いかかる。と、その時だった。からかうように笑う耳障りな声が、スキホーダイにはっきりと届いた。

「おーい! そっちにはヴェールしかいないよ~!」
「こっちに来れば3人まとめて倒せるわよ」