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第3話Part25

「りんねちゃん、ありがとう! りんねちゃんが守ってくれたおかげで、私また戦えたよ!」

 変身が解けたまつりは、そう言って真っ先にりんねの手を取った。りんねは一瞬驚いたような顔を見せたが、すぐに笑顔になると、小さく首を振った。

「ううん、私の方こそお礼が言いたいわ。カプリシューズに飲み込まれそうになった時、助けてくれてありがとう、まつりちゃん!」

 やっと名前で呼んでくれた。その響きが心地よくて、まつりはパッと顔を輝かせる。

「……! うんっ、これからプリキュアとして、よろしくね!」
「こちらこそ!」

 繋いだ手を振りながら、二人は目を細めて頷き合う。と、りんねが何かを思い出したかのように小さく口を開いた。

「そうだ、私、まりあ先輩に謝らなくちゃ」
「生徒会長に?」

 りんねは頷くと、少し寂しそうにそっと目を伏せた。

「ええ。前に、まりあ先輩にも励ましてもらったことがあったの。でも私、その時ははぐらかすような事しか言えなくて……。だから、ちゃんと謝って、先輩とも仲良くなりたいって言いにいきたいんだ」

 ぽつりと話したりんねの肩をレザンが優しく叩く。

「うん、良いじゃないか。あの人ならきっと受け入れてくれるよ」
「とにかく、今回も皆で協力できたし、一件落着ね」

 二人の優しい声音に、りんねは安心したように微笑んだ。その様子を見ていたゆららは、小さく息をつくとレザンに向かってそっと問いかけた。

「それはそうと、レザン、あなたあの女の人と一体何を話していたの?」
「んー? それは僕だけの秘密っ!」
「そんな言い方されると余計気になるわ……」

 パチリとウインクをしてはぐらかしたレザンを、ゆららは呆れたように見つめる。そんな二人のやり取りを見て、あすなはけたけたと明るく笑った。

「まぁ、小さい事は良いじゃないですか、皆無事だったんだし! あすな、ダンス部の皆を見てきますね!」