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第3話プロローグPart4

 すると、今までソンブルには目もくれなかったモーヴェが、突然くるりとこちら側に振り返った。デザストルに向ける物とは全く違う、腹の立つ嘲笑を見せながら、モーヴェは首元のネックレスをかざしてみせる。

「うふふ、任務のためではあるけれど、はたから見れば、贈り物をもらったみたいじゃない? ねぇソンブル、このネックレス、素敵でしょ?」

 ここで褒めるのも癪だが、下手に無視をしたら後々のトラブルに繋がりかねない。葛藤の末に、ソンブルは全く感情の籠っていない声で肯定しておくことにした。

「あー、ハイハイ。ステキデス」
「ちょっと、何よその言い方!……ふん、まぁいいわ。だって、これからプリキュアについて任されるのはあんたじゃなくてあたしなんですもの」

 ガキはせいぜい黙って見てなさい。そう言いたげに細められる瞳を見て、ソンブルの中の何かがプツンと切れる。ソンブルは、憎しみを込めた目でモーヴェを睨みつけた。

「っのババァ……オレだって戦力外通知って訳じゃあねぇんだぜ? デザストル様と研究室に籠って新薬の実験をする事になったんだからな。これだって重役だ」
「なんですって……! デザストル様と、密室で、二人きり……なんてこと……」

 予想に反して、モーヴェは口元を抑え、悔しがるような面白がるような、よく分からない反応を示した。拍子抜けしたソンブルは、疲れきったような顔でため息をついた。

「妙な言い方すんなよな……」