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第3話Part2

「それで、チケットを配るように言われたので、先輩方にもお配りしたくて。まつり先輩、王子先輩、ゆらら先輩、それからポムの分もあります! 是非来てください! 」

 チケットを受け取ったまつりは、紙面に写っている部員たちの写真を見つめながら嬉しそうにはしゃいだ。

「へぇえ、すごーい! 大会だけじゃなくてコンサートもやるんだ! 私は行くよっ。ゆらちゃんも連れていく! レザンとポムはどうする?」

 まつりが勢いよく振り返ると、レザンが答える前に、彼の鞄の中からピンク色の羊のような生物──妖精のポムが飛び出してきた。

「行きたいポム~!! 人間の姿になれば問題ないポム!」

 このチャンスを逃すまいと、ポムはレザンを説得するかのように早口で捲し立てた。レザンは暫く考え込んでいたが、やがて妥協するように口を開く。

「うーん、ポムは人間の姿になっても、いつこの姿に戻っちゃうか分からないだろ? この姿のまま、こっそり行くのが良いよ。他の人にバレないように気を付けられるかい?」

 レザンに優しく頭を撫でられたポムは、嬉しそうに何度も頷いた。

「ぬいぐるみのフリは得意ポム!」
「良し分かった。僕らも行くよ。楽しみにしてるね」
「本当ですか? 嬉しいです! 皆さんのご来場、お待ちしてますね。では、あすなは部活があるので失礼しますっ!」

 あすなはそう言ってパッと明るい顔を見せると、ぺこりとお辞儀をして足早に去っていった。忙しないが、うきうきとしたその背中を追いながら、レザンは数日前のあすなの事を思い出していた。
 部内の先輩に努力を否定され、馬鹿にされていたあすなは、笑顔の裏に痛々しい程の悩みを抱えていた。しかし、まつり達プリキュアや生徒会長の後押しもあってか、最近は随分と溌剌とした笑顔が見られるようになって来ている。

「あすなちゃん、忙しそうだけど前より楽しそうだね」
「この前の大会の後、あすなちゃんの頑張りを認めてくれる先輩や、一緒に練習する友達ができたって言ってたよ。良かったね」
「あすなは笑顔が似合うから、笑ってくれてるとうれしいポム!」

 三人は顔を合わせて笑い合うと、その後手元のチケットに目を落とした。

「でも、ポムの分のチケット、返し忘れちゃったポム……」
「そっか、その姿で行くならチケットは必要ないもんね。どうしようか?」

 まつりが余った一枚のチケットをぺらぺらと弄んでいると、突然、ガラッと音を立てて教室の扉が開いた。