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第5話Part14

 凛とした瞳が、正面からこちらを見つめている。その尋常で無い敵意に、モーヴェとソンブルは一瞬息を詰まらせた。

「なっ……まりあが、変身に成功した……!?」
「遂に5人、揃っちまった……。あいつにとって、『キュアソレイユ』は負担じゃなかったのか……?」

 ビリビリと痺れるような空気が、離れたところにいるはずの二人にまで伝わってくる。だが、すぐそばにいるプリキュア達には、それは仲間の合図になるようだった。

「や、やったー!!キュアソレイユ!5人目のプリキュア……!」
「私たち、これでようやく、エスポワール🌟プリキュアになれたのね」
「こうなれば百人力です!皆さん、行きますよ!」

 ルシエルの掛け声で、五人一斉の攻撃が始まる。

「はぁあっ!」
【アイタタタ!?!?】
「やぁーっ!!!」
【オイシクナイ!オイシクナイヨー!!】

 中でも、ソレイユの身体能力は優れていた。家の大きさほどもあるスキホーダイを、一人で颯爽と、着実に弱めていく。

「ソレイユ、凄い……!」
「わたくしに、こんな力があるなんて……!」

 元々、夕闇まりあという人間は様々なものに長けていた。それがプリキュアとなった事で、より強い力を生み出したのだと、モーヴェにも理解せずにはいられなかった。だが、そんな事で引き下がる彼女ではない。

「くっ、そうはさせないわ!スキホーダイちゃん!あなたの力はそんなものじゃないでしょ!新しい技を見せてあげなさい!」
【デザートハ!!ベツバラダー!!!】

 スキホーダイの咆哮と共に、風を切り裂く攻撃がプリキュア達を襲う。

「きゃあっ!」
「っ……!なんて強い威力!でも、わたくしは負けない!」
「ソレイユ……!」

 攻撃を受け流し、ソレイユは一歩ずつ前に歩んでいく。我を忘れ腕を振り回すスキホーダイを真っ直ぐ見つめ、彼女は狙いを定めた。

「皆下がってて。ここはわたくしが!プリキュア・フレームアロー!」
【ゴチソウサマデシタ~♪】

 ソレイユの放った矢はスキホーダイの体の真ん中に命中した。そこから崩れるように、粒子状の光が舞いあがる。ふわふわとした満足気な声と共に、スキホーダイは姿を消した。