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第3話Part24

 視線の先には、凛と佇む新たな戦士の姿をモーヴェは唇を歪め、スキホーダイに向かって叫ぶ。

「くっ、こうなったら! スキホーダイちゃん達! 新しいプリキュアもろとも、全員倒しなさい!」

【オネエサマ、オマカセクダサ~イ!】

 モーヴェの後ろからスキホーダイが飛び出してくる。自分に向かって真っ直ぐに飛んでくるスキホーダイを見定め、ヴェールは両手を突き出した。

「皆は、私が守る! プリキュア! ヒーリングドーム! 」

【キャー! アーレー!】

 ヴェールの手から、半円形のシールドが出現する。シールドに触れたスキホーダイは、光に反射され遠くへ飛んでいく。見た事の無い強い輝きに、モーヴェは目を見開いて拳を震わせた。

「こんなの、今まで見たこと無いわ! これが守る力……?」
「お姉さん、よそ見してたら危ないよ?」

 突如後ろから聞こえてきた声に、モーヴェはびくりと肩を揺らした。振り返ると、そこには冷ややかな顔をしたレザンが立っている。彼の手には、いつの間にかモーヴェが身につけていた紅い宝石が握られていた。

「あ、貴方、いつの間に後ろに! それに、そのネックレス……!」
「攻撃される度に、無意識にこれを庇ってたよね? これがなくなると、攻撃も出せなくなっちゃうのかな?」
「や、やめて! それはあたしがデザストル様に頂いた、大事な……!」

 必死になって手を伸ばすモーヴェを見て、レザンは可笑しそうに口角をあげる。これでは、どちらが敵なのか分からない。彼はモーヴェを弄んでいるように見えた。

「そう、大事なものなんだ」

 ネックレスを握ったレザンの手に、紫色の薄い靄のようなものがかかる。すると、全く力を加えていないのにも関わらず、宝石にヒビが入り始めた。モーヴェは追い縋るように叫ぶ。しかし……。

「次はちゃんとソンブルを連れてきてね」

 レザンがにっこりと微笑むと、宝石は派手な音を立てて割れ、跡形もなく消えてしまった。

「ああ、あたしのネックレスが!!」
「フルール、今だ!」
「あなたなら怪物を倒せるわ!」

 支えを無くして狼狽えたモーヴェの悲鳴をかき消すように、レザンとヴェールが同時に叫ぶ。フルールは頷くと、勢いをつけてスキホーダイを追いかけた。

「よーし! フルール、行きますっ! プリキュア! フローラルアタック! 」

 花吹雪と共に、眩しい光線がスキホーダイを襲う。

【ワルイコトシテ、ゴメンナサ~イ!】

 最後のスキホーダイは、浄化され小さな光となって、空に吸い込まれていった。その光景を目にしたモーヴェは、フルール達をキッと睨みつけると、「絶対に許さない」と言い残し、姿を消した。