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第5話Part3
「いつもお世話になっているし、お互い様よ。私たちは何をしたらいいかしら?」
ぐるりと家中を見渡し、りんねはポムに向かって張り切ったような声をあげる。家事が得意なりんねらしいと思いながら、ポムは口元に手を当てて少しばかり考えた。
「んーと、じゃあ、まりあとりんねはお粥を作って欲しいポム!」
「わたくし、料理をしたことが無いけれど、大丈夫かしら?」
彼女にしては珍しく、気弱そうに問うたまりあに、りんねは励ますように寄り添った。
「私が教えるから大丈夫よ、まりあちゃん」
「心強いわ。よろしくね」
微笑み合いながら二人の世界に浸っているりんねとまりあを見守りつつ、ポムは急げとばかりにまつりとあすなの方へ駆けていく。
「それから、まつりとあすなはポムと一緒に家中のお掃除ポム!」
「えー、家中? それ看病と関係なくない?」
「あすな達だけ貧乏くじを引かされてるじゃないですか!」
当然、文句が出るのは見越していた。ギャーギャーと騒がれても、ポムは怯むことなく涼しい顔で話を続ける。
「部屋が汚いと空気も悪くなるし、体に障るポム! お掃除だって立派な看病ポム!」
「な、なるほど……!」
「そういう事なら、私頑張るよ!」
それらしい言葉に絆され年下の少女にうまくこき使われている二人を、ゆららは哀れなものを見るような目で静観していた。
「上手く言いくるめられているけど、本当はポムが一人で掃除するのが面倒くさいだけなんじゃ……」
「ゆらら、しーポム! ゆららにはレザンのお世話をして欲しいポムー!」
慌てたようなポムの小声に、ゆららは苦笑して頷く。そして、ちらりと箒を取りに走るまつりの背中を見やった。その役目は、きっとまつりの方が良い。その方がレザンも嬉しいはずだ。そう思い、ゆららは控えめに口を開いた。
「私は別に構わないけど、まつりじゃなくて良かったの?」
「まつりじゃどんなドジをやらかすか分かったものじゃないポム。ゆららの方が慣れてそうだからお願いしたいポムー!」
情緒もへったくれもない、実にポムらしい答えに、ゆららは思わず吹き出した。
「確かにそうね。分かったわ」