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第2話Part7

 その日の放課後。ゆららと連れ立って歩いていたまつりは、終始どこか含みのある笑顔を浮かべていた。

「それにしても、まさかレザンが授業に遅れてくるなんてね~!人の事言えないよねっ」

 他人の不幸は蜜の味、人の失敗は面白い、そんなところだろうとゆららは踏んだ。いつも真面目で成績優秀なレザンが遅刻してきたのだから、少しばかり意外に思うのは分かるとして、正義の味方がそんな調子では如何なものか、とも思う。
 ゆららの方には、まつりとは違ってレザンが遅れてきた理由に対して、大体の検討はついていた。まつりの笑顔に肩を竦めながら口を開く。

「何で嬉しそうな顔してるのよ……。大方、ポムと話でもしてたんじゃないの? 鞄の中に隠れてたみたいだし」
「そうだったの!? 気づかなかった……」

 ぽかんと口を開けて驚いている様子を見れば、本当に気づいていなかったのだと分かる。あのふさふさは嫌でも目についたのに。ゆららは小さくため息をつくと、歩くスピードを少しだけ早めた。

「注意力散漫。……まぁ、あの年頃の子が家に一人でいるのも退屈よね」
「10歳くらいなんだっけ?そりゃ遊び盛り……あ、あれって、あすなちゃんじゃない?」

 まつり視線の先に、ふわふわと揺れ動く見知った後ろ姿があった。お花見の時にも出会った、初等部の友人煌希あすなである。まつりの視線を追って、少し遅れてゆららもその存在に気がついた。

「え? あ、本当ね。久しぶりに見た。懐かしいわ、初等部の頃はよく一緒に遊んでたっけ。そういえば、まつりはお花見の日に、会っていたんだっけ?」
「うん、変わらず元気だったよ。今も、ダンスの練習してるみたい」

 ゆららの問いかけに、まつりは大きく頷いた。そして、何かを思い出したかのように「あ」とこぼすと、ずんずんとあすなの方に近づいて行く。

「確か、大会が近いってダンス部の子が言ってたような……おーい、あすなちゃ~ん!」

 手を振りながら駆けていく後ろ姿を、ゆららは慌てて追いかけた。