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第2話Another side 4(小説版限定ストーリー)

 虹の花学園中等部の生徒会室からは、中庭の様子がよく見える。つい先程まで生徒会の書類をまとめていたまりあは、仕事が一段落した息抜きに、カーテンと窓を開けて中庭を眺める事にした。
 四季折々の花が咲き誇り、ベンチや東屋が並ぶゆったりとしたこの空間が、まりあは大好きだった。

 と、まりあの耳に、風に乗せられて遠くの方から笑い声が聞こえていた。
 窓から身を乗り出し、よく目を凝らしてみると、中庭の隅に三~四人の生徒の姿が見えた。

「あの子達も、ここが好きなのかしらね」

 誰にともなく呟いて、まりあは大きく伸びをする。

「今は生徒会が忙しい時期だけれど、この仕事が落ち着いたら、あの子とゆっくりお散歩でも」

 艶のある緑色の髪を丁寧にゆった、穏やかな物腰の少女を思い出し、まりあは小さく微笑んだ。