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第5話Part18

「まずはお前を黙らせてやる!」
「っ……!」

 ラメールに向かい剣を振るうソンブル。もう少しで刃が届くというその瞬間、彼の目の前に緑色の暖かな光が溢れた。

「プリキュア! ヒーリングドーム! 」
「お前は……」
「ラメールを傷つける人は、私が許さない!」
「ヴェール、ありがとう……」

 半透明のシールドの中から、ヴェールの燃え上がるような視線を感じる。一人ならともかく、プリキュア二人を一度に相手するのは容易くはないだろう。ソンブルは舌打ちをすると、階下で戦っているモーヴェに向かって声を荒らげた。

「ったく、どいつもこいつも友情だの仲間意識だの……。おいモーヴェ! オレのスキホーダイを寄越せ!」
「はぁ? あんたが命令して動かせなさいよ! あたしは今、この小娘達と戦うので精一杯なの!」

 イライラとした声で応答したモーヴェの隙を見て、ルシエルとフルールの二人は同時に攻撃を加えていく。

「小娘だって油断出来ないですからね!」
「スキホーダイになんて構っていられないようにするんだから!」

 スキホーダイでも無い限り、やはり数ではプリキュアに押されてしまう。ソンブルは、背の高い木々の間に紛れているスキホーダイを見つけ出すと、鼻歌を歌って地面に生えた茸を収穫しているその怪物に向かって指を突き出した。

「くそっ……おい、スキホーダイ! キノコなんて採ってんじゃねぇ! こっちに来い!」
【オイシイノニナ~!】
「てめぇまで反抗すんのかよ……。いいから来い! オレの命令だぞ!」

 命令、と言われては、戦う為に作られたスキホーダイは逆らえない。しょぼんと体を丸め、スキホーダイはのそのそとソンブルの所へ戻っていった。