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第5話Part13

 パクトを受け取ったまりあは、一瞬だけ瞳をうるませて下を向く。だが、すぐに顔を上げると、光が宿るパクトをそっと握りしめた。

「ええ、今度こそ必ず、変身してみせる! 」

 紅く強い光が、辺り一体を取り囲む。

「プリキュア!エスポワールサニーマジック! 」

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 薄暗い部屋の中で、レザンはその時を待っていた。まりあの覚悟が伝わってくると同時に、獰猛な獣のように揺れる炎のビジョンが重なる。

「まりあさん……僕ら、今ならきっと……!」

 炎は、恐ろしい程に高くそびえ立ち、レザンの周りをうねり始めた。けれど、これはあの時のような何もかもを焼き尽くす熱では無い。レザンに仲間として手を差し伸べる、あたたかい温もりだ。

「耐えろ、耐えるんだ……! 僕は、約束したんだから……! 」

 レザンはその温もりに微笑みかけると、柔く形を保つその手を、そっと握った。

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 まりあの中で、ふわりと空気の変わる感触がした。考えるまでもなく、レザンが自分を受け入れてくれたのだと分かった。まりあは小さく口角をあげると、目の前に立ちはだかるモーヴェを睨みつける。

「モーヴェ、わたくしはもうあなたに惑わされない。大切な仲間を守りたい。これが、わたくしの答えよ! 」

 コツン、と、地面に優雅なヒールの音が響く。誰も見た事のない、五人目の戦士が、そこには立っていた。

「紅に染まる美しき太陽! キュアソレイユ!」