「ZE8000のアレコレ」についての感想文(更新中)

「外で手軽にイイ音で音楽を楽しみたい」、所謂TWSのメイン層(と思われる)人たちがここに迷いこんでいたら申し訳ないのでひとつ結論を出しておくと、上記の方々には刺さりづらい製品であるというのが自分の感想です。理由などについては製品の感想の中で順に書いていきます。というか、音に関して一応評価している側の自分でも他者へオススメしにくい製品です。1度立場を明確にしておくと、

  • ze8000の音は好き

  • 主にTWSとしての利便性において、他社に追い付けていないと感じる点が多い

という感じです。製品の細かい仕様などは各々調べていただくとして、ざっくり製品の感想を書いていきます。

装着感について


端的に、軽い装着感で自分は良好でした。イヤピの見た目に騙されがちですが、感覚としては、iPhone付属のイヤホンのようなそっと耳に乗る感覚でした。耳奥に入り込むようなタイプでは無いと思います。
また、正直8K sound+モードやイコライザでの変化以上にイヤピでの音質変化が大きく感じたので、賛否両論の否の何割かはここでのつまづきのように思います。


音質について

特に強調されること無く、よく言えば自然ですが、メリハリで演出されないので楽曲によってはのっぺりした印象になります。所謂海苔音源などは色んな音の主張が強く、うるさく聴こえました。
一方、音の強弱がハッキリした曲、メリハリのある音数の多い曲などはかなり好印象でした。
また、特に楽器の音色表現で良さが分かりやすく、とても生々しい音で鳴らします。
また、人によっては「曇り」と感じられる部分かもしれないのですが、音の余韻の響きが美しいです。サウンドステージのなかで分離よく各音が鳴り、その間を形容しがたい響きが満たしている感じです。この響きのお陰か、没入感は高いです。FinalがZE8000の音に関するツイートをした際、ハイエンドスピーカーで聴く時の感覚を引き合いに出していましたが、恐らく音が部屋いっぱいに満たされ、自分の周りで響き合う様を指しているのだと思います。但し、立体音響でイメージするような、音の鳴る位置を弄ったような音でなく、あくまで定位感は音源に素直に出します。(スピーカーのように前に定位する音とは感じませんでした。)
サウンドステージ自体は広めで、かといって音が遠く感じることも無く、音の広がりが自然で心地よいです。
音源に手を加えない素直さは良くも悪くもで、オールジャンルを鳴らせる素性の良さはありつつも、曲単位で良く聴こえないものもそれなりにあります。ジャンル単位での苦手というより、アニソンやJPOPなど音源が微妙な比率が高い(偏見)ジャンルを多く聴く方に良さが伝わりにくいイヤホンだと感じました。良い音源を聴いた時との落差の激しさも拍車を掛けて、より悪く聴かせる原因かもしれません。
ただ、相性が悪い曲の中でも、時々ピンポイントでハッとするほど生々しく聴こえる音が混ざっていたりの発見が楽しいイヤホンでもあります。
恐らく心理面での作用も大きいのですが、ゆったり聴かせる曲は良さが分かりやすいです。弦楽器系のソロ演奏は一聴の価値があります。
高音域や低音域を強調する音作りでは無いものの、ドライバーサイズの恩恵か低音域の存在感があり、再現性、気持ちよさが分かりやすく、意外とノリよく聴くことも出来ます。自分自身、ER4Sからオーディオの沼へ入りだしたこともあり高音域重視で低音控えめなスッキリサウンドが好みだと思っていたのですが、ZE8000の低音域は非常に心地よく感じました。

機能面について

音質での評価に比べ、こちらは他社と比較してどうしても見劣りする部分が多く感じました。人に手放しにオススメ出来ない理由もこの点が大きいです。(曲を選ぶという理由もありますが)
ノイキャンや利便性を売りにした製品ではありません。むしろ、音の為にTWSという形をとる必要があっただけで、故にマス層の選択肢に滑り込ませるだけの機能性を最低限盛り込んだ印象を受けました(有線では実現出来ない音ということはFinalも説明しています)。細かい点で洗練され切っていない印象があり、羅列すると

  • ケースから取り出しにくく、その際に横のタッチセンサーに触れてしまう事が頻発する。(毎回のことなので地味にストレス)

  • 外音取り込みモード時、比較的静かな場所でちゅるちゅる?したノイズが気になる(Twitterで問い合わせた方曰く、不良では無く仕様の範囲らしい)。

  • マルチポイント、ワイヤレス充電非対応。特に、接続機器切り替えの際に前の機器を切断しないと次に接続出来ないタイプなのが気になる(例えば、ソニーのwf-1000xm4だと、新たに接続する機器側で操作すれば前の機器との接続を勝手に切断してくれる)。

などなど、、、
これまでの有線フラッグシップたちと同様の「8000番」を冠するものとして見ると、やはり作り込みの甘さが目立ちます。(とはいえ、有線イヤホン/ヘッドホンと比べ音質以外に考慮すべき点が多いTWSという製品の性質上、Finalの得手不得手を考えれば仕方ない部分もありますが)
こうした細かな点は、スマホなどと同様日常に溶け込む存在であるTWSにおいてはやはり多くの人は看過できないものではあり、(音に唯一性があることを考慮しても)音質さえ良ければOKとはなりづらいのが難しいところです。

まとめ

こんな人にオススメ

  • 家でじっくり音楽を聴く時間がある

  • 楽器や、音そのものの響きを大事にしたい

  • 色んなジャンルに渡って音楽を楽しめる、そのオーディオ機器に合う曲を探す時間が好き

  • しっとりした曲を聴くことが多い

  • 音楽に浸りたい


他の選択肢の方が良いかも、、、

  • 1つのTWSで全てカバーしたい

  • 特定のアーティスト、曲を気持ちよく聴きたい(試聴で相性が良いことが確認出来るならよいのですが、そうでない場合外した際のダメージが大きい可能性があります)

  • TWSとして利便性を重視している

  • スッキリ、カリカリした音が好みである(ただし、自分のように音の好みを塗り替える体験をする可能性はあります。)

  • 外でパッと付けて手軽に音楽を楽しみたい

  • 試行錯誤の時間を楽しめない、せっかちである

アレコレ書きましたが、個人的には結構気に入って毎日使っていますし、音楽を聴く時間が圧迫して寝不足になるくらいの魔力に溢れた「聴きたくなる音」であることは間違いないです。万人に手放しで勧められるものではないですが、コレクションに加えて他と聴き比べる面白さはあるのではないかと思います。


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